「強打」の上を行く「恐怖」の2番打者!? 日本球界でもトレンドになるか

メジャーでは定着しつつある“2番最強打者説”

 東京ドームを後にして活躍の舞台をニューヨークへ移した松井秀喜外野手に代わり、1年を挟んで2004年に出現したのが「赤ゴジラ」こと嶋だった。レギュラー定着を目指したシーズンで、4月から打率4割を超える打棒を見せる。シーズン終了後には打率.337に収まったが、首位打者獲得に加え、積み上げたリーグ最多となる189安打は当時のセ・リーグ記録に迫るものだった。

 流麗なスイングから快打を連発したバルデスは、来日した2001年から3年連続で打率3割&20本塁打超え。いずれの年も出塁率は4割近かったが、2003年には川崎宗則内野手の台頭で6番に配置転換。得点を演出する立場から作り出す役回りへの適応を求められたが、104打点をマークするなど見事に応えて“100打点カルテット”の一角を担った。

 上記以外にも、2000年に93試合で2番を任された金城龍彦外野手(横浜)が、長打は少なかったが打率.346で首位打者に輝くなどよく打った。2005年に日本一に輝いた千葉ロッテでは、当時のボビー・バレンタイン監督が日替わり打線を組むなか、チーム最多の91試合を務めた堀幸一内野手が打率.309の好打率を残している。7本塁打を放ち、全試合に固定されていれば「強打の2番」に名を連ねていたかもしれない。

 巨人以外の球団では日本ハムが従来の日本球界のイメージとは異なる打者を2番にすることが多く、2004年はSHINJO外野手、2005年は木元邦之内野手、2012年には小谷野栄一内野手がチーム最多の出場数を務めた。逆に、打って打って打ちまくった大阪近鉄“いてまえ打線”の2番は、2000年から球団がオリックスと合併する2004年まで毎年、小技の巧みだった水口栄二内野手がチーム最多となっている。

 このように、2番にどのような打者を起用するかを探るのはチームの方針が透けて見えるようで面白い。今季は、ペゲーロと同様に開幕戦から持ち前のパワーを発揮していた北海道日本ハムの大谷翔平が、4月6日にキャリア初の2番で先発出場して話題となった。

 余談だが、39本塁打、102打点をマークして昨年のナ・リーグMVPに輝いたクリス・ブライアント内野手(シカゴ・カブス)や、41本塁打、123打点を記録して一昨年のア・リーグMVPを受賞したジョシュ・ドナルドソン内野手(トロント・ブルージェイズ)も主に2番を務めている。昨季、ともにメジャー30球団でトップのチーム打率.282、848得点を叩き出したボストン・レッドソックスは犠打がわずか8本しかなかった。

 とはいえ、今季の楽天に見られる策は、中軸にも信頼の置ける打者が揃っていることが前提だろう。「恐怖の2番打者」は日本でもトレンドとなっていくのか、はたまた一過性のブームで終わるのか。開幕から1週間を待たずして、今季もプロ野球に新たな関心事がつけ加えられた。

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