野球界にも「インバウンド」を―台湾ファン呼び込むパ・リーグの取り組み
今年は「さらに踏み込んだ」試みを実施
さらにスタッフからの「パ・リーグのホーム球場の中でどこに行きたいか」という質問に対し、その行きたい場所にシールを貼るという試みも行われた。シールを重ねていくことで、台湾の人々がどの地域へ行きたいかの傾向が分かる仕組みだ。
現地スタッフによると、北東北や山陰地方、四国など、徐々に地方都市へ行こうとする人々が増えているというが、それでも北海道や仙台など、即座に行きたい場所を選択する人が多く、日本をよく知る人々が多いことを示していた。
今回これらを企画したパシフィックリーグマーケティング株式会社・マーケティング室プロデューサーの上野友輔氏は、「これまではタッチポイントを増やすという観点で取り組んできたが、今年はさらにもう一段階踏み込んで、『実際に球場に行ってみたい!』という気持ちになってもらえるようなものを用意したかった」と、その意図を説明した。
結果、今回のイベントでのべ約28万人が来場した中で、パ・リーグのブースでVRを見るかアンケートに答えるなど、何かしらのアクションをしたのは約3000人。旅行商品の販売自体を行っていないブースの中では、際立つ数字と言える。ここにチラシだけを受け取ったり、あるいはステージパフォーマンスだけを見た人も加えると、さらに大きな数字となる。
台湾からの来日者数は昨年、のべ400万人を突破した。台湾からの観光客に限らず、昨今「インバウンド」という言葉が盛んに取り上げられていたように、海外からの観光客を取り込み、ビジネスにつなげようという動きがある。「本拠地がうまく観光地に散らばっているパ・リーグ」(上野氏)としても、これに乗らない手はない。