「常勝西武」復活へ 10年ぶりリーグ制覇も視野、来季期待の選手たちは?

投手陣にも明るい材料

 長年課題とされてきた救援陣では、2人の若手が台頭した。1人目は社会人出身のルーキー・平井だ。5月23日に1軍登録されると、右横手からの速球とスライダーを武器に、42試合に登板。時にワンポイント、時にロングリリーフと、様々な役割を臨機応変にこなし、プロ初勝利を含む2勝、4ホールド、防御率2.40と安定した成績を残した。1軍では全て中継ぎとしての登板だったが、ファームでは先発マウンドに上がっている。オールドルーキーの2年目に、大いに注目していきたい。

 ここ数年、武隈に頼っていた中継ぎ左腕の枠にも、期待の新戦力が出てきた。2年目の野田は、今季は38試合のマウンドに上がった。シュート、スライダーなど左右に揺さぶる変化球を駆使し、被打率は何と.171。さらに、1イニングに安打と四球で許した走者の平均を示すWHIPは0.99と、ほとんどピンチを招かない盤石な投球を見せた。昨季は3.94だった防御率も1.99と良化している。持ち味である強気の投球で、来季はますますレベルアップした姿を見せてほしい。

 次期エース候補と名高い高橋光は、大きな期待をかけられながらも、悔しいシーズンを過ごすことになった。開幕からしばらくは白星に恵まれず4連敗。5月9日の北海道日本ハム戦で今季初勝利を挙げ、続く試合にも勝利したものの、故障の影響で戦線離脱を余儀なくされ、実戦復帰までおよそ2か月半を要する。

 しかし、8月からのファームの試合では、来季につながる投球を見せた。5月までは1軍で与四球率5.13と制球に苦しんでいたが、8月以降のファームでは18イニングスを投げて6四球、与四球率にして3.00と明らかな改善を果たす。4か月半ぶりの1軍復帰戦となった9月24日のオリックス戦でも、その成長を示すように6イニングスを投げ与四球はわずかに1、奪三振5。エース候補の真価が問われる来季にはどのような投球を見せるか。菊池とともに左右の両輪となれば、10年ぶりのリーグ優勝もグッと近づいてくるはずだ。

 遊撃、中継ぎと、長年課題とされてきたポジションに続々と若い芽が現れ始めた埼玉西武。伝統の強力打線はその威力を増し、辻監督の掲げる「守り勝つ野球」を体現するピースは揃いつつある。4年ぶりのAクラスをきっかけに「常勝西武」復活へ。来季は10年ぶりのリーグ優勝、さらには日本一に向けて、炎獅子を上回る勢い見せ付けていきたい。

(「パ・リーグ インサイト」成田康史)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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