西武・栗山が得た「着想」 「リアル野球盤」に込める思いとは
「リアル野球盤」が秘める可能性
そんな考えを、さらに進めるきっかけがあった。ある日栗山は、あるスポーツの映像をみた。
ブラインドサッカー。視覚障がい者が、ボールに仕込まれた鈴の音と、ゴールの位置をピッチ外から知らせる「コーラー」の声などを手掛かりに、視力に頼らずプレーするサッカーだ。
この競技は、実は視覚障がい者だけが参加するわけではない。視力がある人もアイマスクをすることで、視覚障がい者と同じ条件となり、一緒にプレーすることができるのだ。
「視覚障がい者の方とそうでない方が、遠慮なしにバッチバチにやりあっていました。ああ、すごくいいなと。野球でも、そういう場を設けることができないかなと」
検討を重ね、栗山は今回「リアル野球盤」という形を取ることにした。
打撃ティーに置いた球を打ち、飛んだボールがフィールド上のどの的に当たるかで、「アウト」「安打」「二塁打」「三塁打」「本塁打」を決めるルールだ。
止まっているボールを打つことさえできれば、誰でも参加できる。いずれ有力校からプロへ進むような有望球児と、ほとんど野球の練習をしたことがない、あるいはできない子どもが、“リアル野球盤”でならほぼ同条件でプレーできるのだ。