開幕から1か月が経過、西武の快走を止めるのはどのチーム? パ・リーグ総括
昨季の王者・ソフトバンクはケガ人続出で苦しむ
〇ソフトバンク リーグ3位
開幕直前、とりわけ捕手陣にケガ人が続出し、綱渡りのような状態が続いた。先発ローテーションの柱である千賀、バンデンハークが防御率5点台、武田や東浜も防御率4点台と苦しんでいる。中継ぎ陣でも岩嵜の長期離脱が決定し、絶対的守護神のサファテもチームを離れた。
ただ、開幕には間に合わなかった明石や高谷が早々に復帰し、11日から5連勝。苦しい投手陣の中では、石川が中継ぎ、先発含めた7試合で防御率1.59と、献身的な働きを見せ、中田も5試合に先発して2勝1敗、防御率3.60の成績を残している。
また、本多が19試合で打率.281、4盗塁と復活を感じさせるプレーを見せている。柳田もパ・リーグ11年ぶりのサイクル安打を放ち、スタメンでただ1人、打率3割を突破するなど絶好調。これまでも主力の離脱を層の厚さでカバーしてきた王者だが、改めてそのチーム力が試されるシーズンとなりそうだ。
〇ロッテ リーグ4位
昨年は球団ワーストの87敗を喫して最下位に沈んだが、今季は井口新監督のもと「機動力野球」が早くも成果を発揮。昨シーズン全体で78個だった盗塁数は、今季24試合で早くもリーグトップの34個と、試合数を大きく上回る数を記録している。先の塁を狙う姿勢を徹底することで、得点数も西武に次ぐリーグ2位と向上を見せた。
不動のリードオフマンの荻野貴と3番の中村が、3割台の打率とリーグ上位の盗塁数を記録してチームを引っ張り、ルーキーの藤岡裕と菅野もレギュラー定着。ここ2年は不振に苦しんでいた清田も復活の兆しを見せるなど、得点力不足にあえいでいたチームは新指揮官の下で生まれ変わった姿を見せつつある。
投手陣では石川が4試合で3勝無敗、防御率2.20と完全復活を強く印象付けている。さらに26日に今季初完封を決めた涌井に加えて、新外国人のボルシンガーも及第点以上のピッチングを見せており、先発ローテーションにも一定のめどが立った。
ところが、昨季はルーキーながら中継ぎとして大車輪の活躍を見せた有吉が防御率5.54と安定感を欠き、シェッパーズも防御率4.50。この2人は復調の気配を見せつつあるものの、2年目の酒居は不振から脱せず2軍降格。新戦力のオルモスや、2年目の飛躍が期待される佐々木は1軍での登板機会を得られていないままだ。
打線では鈴木が打率.205と状態を上げられず、レギュラー定着に期待のかかった加藤も打率.188と絶不調で開幕直後に登録抹消。4番構想もあった角中選手は骨折で長期離脱となっており、新外国人のドミンゲス選手は2軍で昇格機会をうかがっている状況だ。
ただ、勝負強い打撃を披露している福浦が、節目の2000安打達成に向けて、一歩ずつその歩みを進めている。ロッテ一筋の大ベテランが偉大な記録を達成する瞬間を多くのファンが待ちわびているはずだが、本人もチームも見据えているのはその先だ。前年最下位からの大逆襲に向けた正念場はここからである。