「ラッキーセブン」は本当に何かが起こるのか? 試合が動く回、動かない回

図2:各イニングごとの得点期待値【画像:(C)PLM】
図2:各イニングごとの得点期待値【画像:(C)PLM】

試合が動くイニング、動かないイニング

 図2を見てみると、3回の攻撃の得点期待値(そのイニングにどれだけの得点を奪えるのかの指標)は「0.54」と、9イニングスの中で唯一「0.5」を超えている。平均的にNPBは無死走者なしの状態での得点期待値は「0.44」であるため、3回はいかに試合が動きやすいイニングなのかが分かるだろう。

 次に多くの得点が入っているイニングは初回である。これは、先発投手の永遠の課題である立ち上がりを、打者が攻めていると考えられる。

 反対に、最も得点が入らなかったのは9回。9回は守護神が登板するなどの要因もあるが、そもそも裏の攻撃を行わないケースがあり、合計イニングが他の回より少ないことを考慮すれば当然の結果である。

 その9回に次いで得点の少ないイニングは2回だった。2回の特徴として考えられるのは、初回の攻撃が3番までで終わったケース以外は「打順が下位打線に向かう」、そして「投手も立ち上がりを切り抜け、心理的な余裕が生まれている可能性がある」ということである。

 得点期待値を見ても、2回は「0.345」と他のイニングと比べて明らかに低い。3回と比べるとその差は「0.2」近くあり、2回にビッグイニングを作る難しさが分かる。これらの要因を考えても、2回は打者にとっては不利なイニングであると言えそうだ。

 ちなみに昨季、2回に最も多くの得点を挙げたチームは日本一に輝いた福岡ソフトバンク(58得点)だ。さらに2回に得点した回数でも埼玉西武と並んでトップに立っており(34回)、試合が動きにくいイニングを、気を抜かず攻略してきたことが分かる。

現代野球の分業制が影響か、「ラッキーセブン」はイベントに過ぎない!?

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