日ハム、川崎、栃木…他競技の強豪3チームが実現した「勝者の経営」とは…
放映権料はリーグ管轄のJリーグとBリーグ
――収益の構造はだいぶ違うのではないかと思いますが、チーム運営の中で特に意識の高いところ、あるいは課題を残すところは、どのあたりなのでしょうか。
森野「スポーツビジネスはチケット収入とマーチャンダイジング、スポンサー収入と放映権料の4大収益に支えられています。先ほどの話では、分配金のようなところがプロ野球界とJリーグ、Bリーグと仕組みが違います。ただし、パ・リーグではパシフィックリーグマーケティング株式会社を作って、一部ではありますが事業展開もしましょうという形ではあります」
井川「JリーグとBリーグは似ているのではないでしょうか。放送権はリーグが管轄していて、ダゾーンとの大型契約がクラブに分配される流れは、プロ野球と大きく違うところかなとは思います。リーグに集約した権利を購入してくださったスポンサーが応援してくださいます。Jリーグの場合はJ2、J3まであるので、その分もしっかりと分配をしなければならない点も、プロ野球との違いかもしれません」
藤本「Bリーグの構造自体はJリーグと似ている部分だと思います。課題があるとすればアリーナの問題ですね。日本国内を見渡しても、キャパシティが1万人を超えるようなアリーナはほとんどありません。チケットが完売した試合を全部足しても、売り上げのマックスがほぼ決まっています。
一方で、BtoCの売り上げを増やしたいとう前提があります。BtoBでは景気の影響を受けやすく、1社依存が大きいので、なるべくBtoCで安定的な土台を作っておきたい。もっと言えば、ちゃんと集客ができているからこそスポンサーにも広告価値をわかっていただけるので、まずは集客だと思います。ただ、キャパシティが5000人ほどで止まると、そこから先はより広いアリーナを作っていかなければという課題感があります」
――Bリーグはシーズン60試合ですから、1試合の動員が5000人でも最高で30万人。プロ野球やJリーグなら、規模の大きいところは1試合4万~6万人だったりします。
森野「北海道日本ハムファイターズがソフトであれば、ハードとしての球場とどのように融合しながらビジネス展開できるかが課題であると捉えています。今は新球場を作ろうとしており、スポーツビジネスの中でどのようにマッチングしながらシナジーを出していくのか。運営と箱がいかに一緒になって作り出すかは、JリーグもBリーグでも同じではないでしょうか」
井川「そうですね。サッカーは試合数が少なくて、年間のホームゲーム20試合ほどで稼がなければなりません。今は2万5000人ほど入るスタジアムで、ありがたいことにほぼ満員です。ただ、これ以上お客さんを入れられない状況でさらに稼ぐにはどうすればいいのかという悩みはあります。他チームのように、サッカーの試合以外のフットボールビジネスやノンフットボールビジネスで稼ぐことも必要かなと思っています」