大阪桐蔭・根尾のK奪取率は16%、沖学園は強打片鱗も…データで見る甲子園
近江・林のチェンジアップは空振り率51.7%
◇近江 4X-3 前橋育英
○攻撃指標
【近江】
打率.343 OPS .810 wOBA 0.424 P/PA 3.40
O-swing% 28.2%(前試合 33.5%)
Z-swing% 78.5%(前試合 55.6%)
Z-contact% 92.2%(前試合 82.5%)
【前橋育英】
打率.257 OPS .620 wOBA .304 P/PA 3.67
O-swing% 38.6%(前試合 27.3%)
Z-swing% 68.6%(前試合 76.9%)
Z-contact% 85.7%(前試合 80.0%)
○近江・林優樹投手の各指標
6回 打者21 投球数80 WHIP 0.50
▼配給割合
高め 35.0%
中 15.0%
低め 50.0%
2試合通算 WHIP 1.18 GO/AO 0.83
9回裏にエラーも絡んだ4連続出塁で1点をもぎ取り、サヨナラ勝ちとなった近江。打撃指標でみれば圧倒的に前橋育英を上回っているのですが、点差はわずかに1。実は近江はすべてのイニングでランナーを出していながら、点に結びついたのは1回、6回、9回のみ。前橋育英・恩田投手のZone%が45.5%という、ゾーンを広く使ったピッチングに要所を抑えられた感はあります。
前橋育英は結局、得点は2回表の3点のみ。特に3回以降は2安打に抑えられ、反撃の隙も与えられませんでした。前橋育英打線を封じ込める原動力となったのが、近江の背番号18・林優樹投手。投じた80球のうちZone%は41.3%。特にチェンジアップのZone%は17.2%とほとんどストライクゾーンに入っていません。それだけキレのある変化だったことの証左ですが、チェンジアップによる空振り率はなんと51.7%。低めに投じられるチェンジアップで完全に前橋育英打線を翻弄しました。なお、林投手の奪三振率は2試合登板通じて8.68と高水準です。
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。