データを駆使した野球の見方を楽しむイベント 元選手とアナリストが対論
川井氏が現役時代に嫌だった選手は……
イベントは参加者がパソコンやスマートフォンを使ってリアルタイムで質問する形で行われ、参加者から川井氏に対して「現役時代、特に嫌だった打者は?」と質問が挙がった。
これに対し川井氏は「松井稼頭央選手(埼玉西武)。芯で捉えられた完璧なヒットを打たれていました。タイミングを外せなかったので三振も少なかったです」と現在もプレーを続けるベテランの名を挙げた。また、現役時代の契約更改について「交渉の場で細かいデータを出されていましたし、僕自身も『どうでしたか?』と聞いていましたね」と契約更改とデータにまつわるエピソードも語っていた。
話はさらに具体的な事例に及んでいく。「得点に基づくプレーの価値」としてアウト別、走者別で各状況からイニングが終わるまでに入った得点の平均値を示した表が計24通り表示される。2死走者なしなら0.087ともっとも低く、塁上に走者がいるほど数値が上昇。無死満塁では2.092ともっとも高くなる。しかし1死三塁で0.906に対し、1死一、二塁では0.878と唯一平均値が減少する。この点については参加者から「ダブルプレーの可能性があるのでは」という意見も出てきた。
この話を踏まえ、会場内でライブ中継されている西武-ソフトバンクの試合を見ながら「この状況では何点の可能性があるのか」と解説が行われた。ちょうど試合は2回裏、1死から埼玉西武・金子侑司選手のセカンドへの打球がアウトとなった場面だった。ここで辻発彦監督がリクエストを要求。ビデオ判定で一塁はセーフとなり記録は内野安打となる。アウトになっていれば2死走者なしで0.087となるところが、1死1塁となったため0.478と得点の可能性が一気に高まった。他にもプレーの種類によって得点を算出し、打撃結果によってプレーの得点価値が大きく異なることも紹介された。