【福岡発 売り子名鑑2018】ヤフオクDの“天使”が見つけた売り子サバイバル術「お客さんとの密度を上げる」
野球に詳しくなくとも“オリジナリティー”で図る交流
始めた当初は10キロを超えるタンクの重さに耐えかね、「キツすぎて向いていないと思って。毎試合のように、次の試合で辞めよう、来月で辞めようと思っていました」という。それでも、4年続いたのは「常連のお客さんが1年目からできましたし、『エンジェル!』って親しく話しかけてくれます。名前のおかげで子供さんからも親しく声をかけてもらえる。その子供さんたちと話すのも楽しくて」。ヤフオクドームに訪れるファンとの交流が、売り子を続ける力になった。
売り子の仕事で最大の苦労はどこにあるのか。「尋常じゃないくらいタンクが重いです。4年経った今でも、よくあれを女の子が持っているなと思います。さすがに慣れましたけど、2年目くらいまでは慣れなかったですね。ずっと重たいですし、体力はいりますし、それでも笑わないといけない。体力だけでなく、体力を超える精神力が必要です」。
「えんじぇる」さんは、野球には詳しくない。その中で、ファンとのコミュニケーションを取るためにオリジナリティーを発揮するようにしているという。「アイドルとかが好きでオタクなんですけど、買ってくれるお客さんにもアイドルが好きな人は多くて。情報交換じゃないですけど、ビール注いでいる間はアイドルの話をしていたりします。あとは食べ物の話ですね」。売り上げを上げるためには、コミュニケーションが必要不可欠なのだという。
「何回も買ってくれるお客さんがいたり、団体で来られていたら一度に何杯も買ってくれたり。スピードも大事だけど、お客さんとの密度を上げることが大事。どれだけ次に繋げるか、です。全く話さないと1周回っても売れないなんてこともあります」。コミュニケーションとオリジナリティー。売り子の世界は決して甘いものではないようだ。