5年ぶりのFA市場参戦 なぜソフトバンクは浅村&西の両獲りを狙うのか?
300億に迫る売上高は経営努力と営業努力の賜物
今季はペナントレース2位。西武に敗れ、2年連続のリーグ優勝を逃した。ソフトバンクが目指すのは、来季のリーグV奪還だけでなく、恒久的な強さ。球団は巨人のV9時代を超える黄金期の到来を目指しており、今オフに補強に動くのも必然だった。補強が若手の出場機会を奪うと言われるが、ソフトバンクの場合、上林や牧原、加治屋、石川など台頭してきた若手は、きっちりと1軍の戦力になれるだけの力を身につけ、出てきた。
球界の戦力バランスが崩れるといった類の声も聞くが、常に優勝を狙うプロ野球界でこの声はお門違いだろう。どこの世界でも、それこそビジネスの世界でもそうだが、その世界のトップを走るものがペースを落とし、遅れをとっているものの立ち位置まで降りてきてしまっては、その世界のレベルアップには何ら繋がらない。むしろ必要なのは前を行くものがどんどんと走り、後を追うものが今以上に懸命に努力、工夫を重ねて追いついていくことだ。日本のプロ野球が発展していくためにもこれが必要だろう。
ソフトバンクは、親会社の知名度も相まって“金満球団”と、いまだに揶揄される(もはや孫正義オーナーも“金満上等”としてしまっているが……)。ただ、その実、球団単体で300億円近い売上高を毎年生み出し、独立採算で球団を経営している。多額の年俸、補強費を使っても、10億円を超える黒字を生み出しており、ただの“金満”ではなく、経営努力と営業努力、そして安定した強さによって、その莫大な資金力を生み出している。
必要なものには資金を惜しまず、結果を残した選手にはそれ相応の報酬を払う。確かに、浅村や西がいなくとも、かなりの高い確率でソフトバンクは来季も強いだろう。ただ、ソフトバンクが目指すのは、来季優勝するだけではない。5年、10年と安定して勝ち続けるために、本当に必要だと判断したら、全力を注ぎ込んで補強に動く。だからこその浅村&西の獲得なのだろう。