「完敗、力負けだった…」日本Sで実力差を感じた広島が必死で過ごす秋季キャンプ

シーズンと短期決戦の違い、盗塁を成功させる前に終わったシリーズ

 今回の対戦でクローズアップされたのは、シリーズMVPを獲得したソフトバンク甲斐拓也捕手の守備。特に広島が企図した6回の盗塁は全て刺されてしまった。「甲斐キャノン」と呼ばれた強肩は連日のようにメディアが取り上げ、はなから盗塁できないような雰囲気さえできあがっていた。

「肩が強い、走れないと言っても100%アウトにできるわけもない。甲斐君だって4割くらいの刺殺率ということは、単純に2回に1回はセーフになる。でも、それがシリーズの最初から続けざまに来てしまった。もしかすると、もう1回走ればセーフになったかもしれない。もちろん、後の祭りなんですけど……。だから、そこまで盗塁に関してナーバスにはなっていなかった。でも、それが短期決戦の怖さなのかもしれない」

 野間峻祥が語ってくれたのは、シーズンと短期決戦の違いだった。

 野球の数字というのは正直だ。打者が打率3割を打つのが難しいように、年間でならすと毎年、ほとんど変わらない数字が出てくる。甲斐のシーズン盗塁阻止率は.447というのは、ものすごいことである。しかし、盗塁企図回数が増えれば、当然、刺せないことも出てくる。そうなる前にシリーズは終了してしまったのだ。

「肩の強さだけじゃなく、コントロールがいい。あれは捕球から送球までの流れが無駄なくスムーズだから。基本に忠実だと思います。また、盗塁阻止ばかりが言われますが、キャッチングやブロッキングなど全てにおいて一流。甲斐君は本当にいい捕手だと思います」

 磯村嘉孝は試合出場こそなかったが、ベンチで両チーム捕手から目を離さなかった。自身も捕手としてレベルアップを図っている中で、勉強になることも多かったという。

「分析して語るのは簡単だけど、何を言っても負け犬の遠吠えになる」

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