「黒田さんと話していたようなチームに」―新井貴浩氏が語り尽くす広島の強さ

常に全力疾走、決してあきらめない…選手に染み付いた意識

 チーム一丸となれば、指導者が言わなくてもおのずと選手全員が身につける自主的なものができてくる。広島の場合は、常に全力疾走を怠らず、1つでも次の塁を狙う積極性だ。

「言われなくても、みんな当たり前のようにやってます。プロの選手、カープの選手としてやらなければいけないことっていうのが体に染み付いてるんじゃないでしょうか。隙があったら、次の塁を常に狙っていく準備は全員してますよね。足が速い遅いに関わらず、そういう意識は徹底されていると思います」

 もうひとつ、広島の選手に共通するのが、どんな状況でも決してあきらめない粘りだ。今シーズン、新井氏の印象にもっとも残っている試合は、7月20日の巨人戦(マツダスタジアム)。2回までに7-0と大量リードするが、巨人が陽とマギーの3ランで反撃。さらに8-6と広島リードで迎えた7回には吉川尚の2点適時打、延長10回には岡本の17号ソロで9-8と逆転を許した。しかしその裏、2死一塁の土壇場から、代打・下水流がマシソンから逆転サヨナラ2ランを放って劇的な勝利をおさめた。

「レギュラーではない選手(下水流)があの場面で代打で出ていって、マシソンの速い球を逆方向にホームラン打ってサヨナラ勝ちする。カープの層の厚さ、強さっていうのを象徴した試合だったと思いますね」

 打球が右翼席へ飛んで行った瞬間、新井氏は真っ先にベンチを飛び出して大声をあげ、誰よりも体で歓喜を表していた。

「試合終わってロッカーに帰ったらVTRが流れてるんですよね。それで自分のアレが撮られてて、めちゃめちゃ恥ずかしかったですね。なんかジャンプしてガッツポーズして、それもみんな選手たち見てたんで、ロッカーでみんな大笑いしてましたね」。

新井氏と黒田が若い選手に注入した“広島魂”

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