元オリックス選手が社長に転身 客足の絶えない「バッティングセンター」の秘密

アットホームな場所、バッティングセンター人口に変動なし

 店内には、「野球神社」が存在する。神社とともに一から建て、本格的な祠(ほこら)に野球の神様が祀られているという。他にも、アーデルオリジナルショップや可愛らしい公式HP、定期的に行われる斬新な企画など、印象的なデザインを持つ店について高見澤氏に尋ねると「うちは、スタッフに恵まれているんですよ」と笑いながら答える。絶えず、心から野球を愛す元プロ野球選手の顔を見せながら、社員を信頼する“代表取締役”としての懐の大きさものぞかせた。

「特に、意識をしてはないけど、長いこと野球塾をやっていて、自分の子どもを抱いて帰ってくる元野球塾生徒がいたり、高校や大学での結果を報告に来たりと、なぜか皆、“帰ってくる”んですよ。楽しくやっていることがアットホームさを生んでいるのかもしれません」

 野球の競技人口は減っているかもしれないが、ここアーデルに来るバッティングセンター人口に変動はない。むしろ野球塾は、年々受講者は絶えず、遠方から通う者も少なくない。

 高見澤氏は、今後の目標について「自分も経験したが、プロ野球引退後のセカンドキャリアにおいて、野球に携われることは多くの人間が望んでいる。今いる元プロスタッフが、各々の地元でバッティングセンターや野球塾を開けるようサポートし、新たなキャリアパスを作りたい」と話す。プロ野球選手の引退後も見据えている。

 アーデルでは、常連さんや新規客、帰省してきた過去の塾生などと年の瀬に行う“年越しノック”が毎年恒例になっている。お客さん、スタッフ、そして代表取締役のみんなが「楽しい」と口を揃えるバッティングセンターに、是非一度足を運んでみてほしい。

(大森雄貴 / Yuki Omori)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY