「野球を嫌いにさせちゃいかん」―香川の女子中学野球チームを率いる指導者たち
「ただでさえ、非常に少ない競技人口、野球を嫌いにさせちゃいかんでしょ」
2018年秋から監督を務める板倉氏は、これまで6年間を娘とともに小学校の“少年野球”に携わってきた。女子野球に触れることで、野球観が大きく変わった。
「ただでさえ、非常に少ない競技人口、野球を嫌いにさせちゃいかんでしょ」
少年野球の監督をしていた頃は、厳しい指導もしてきた。しかし、女子野球に携わり、県外の強豪チームの指導を見る中で、気付く点があった。
「男子は怒って聞かせたり、強く言ったりはあっても、女子には逆効果。他県の女性指導者らを見ても、やる気にさせるというか、モチベーションを上げる指導をする」
野球女子には次なるステップとなる高校でも、進学事情が伴う。現在、中学2年生の娘が選手として在籍し、小豆島から往復4時間かけて練習に通う真砂会長兼コーチは「娘は高校で硬式野球をやりたいという。しかし、香川県内に女子硬式野球部を持つ学校はない。当然、やらせたいが、私学となれば費用との相談となってしまう。各学校に関する情報も豊富ではないし……」と困惑する。
四国では、隣県の高知県など県外には女子硬式野球部が存在するが、私立であれば高額な学費もかかり、男子野球に比べて越境入学への理解もまだまだである。理想は県内に女子硬式野球部ができることだが、人口減少が顕著な中、簡単な話ではない。OGには、野球をしたいが、悩んだ末、ソフトボールに進路をとる選手も多い。
真砂会長兼コーチは、チームのHP作成やFacebook及びインスタグラムの担当も務めている。「活動を認知させることももちろんだが、“女子野球”という入り口をネットからも広めていきたい」と語る。香川オリーブガールズJHCは、合同チームのため、人が集まらない限りチームは存続しない。女子野球チームの存在を知らせること、楽しく活動していることをSNSなどで、伝え、開かれた門となっている。
彼女たちのピンクの練習着の背中には、漫画「ダイヤのA」作者であり、香川県出身の寺嶋裕二氏がイラストを描いている。“野球をしたい”女子たちが、より一層キラキラ輝けることを願う。
(大森雄貴 / Yuki Omori)