愛知のエース里綾実が完投勝利 記念日“4・23”に懸けた思い

23日の埼玉戦で完投勝利を挙げた愛知ディオーネ・里綾実【写真提供:日本女子プロ野球リーグ】
23日の埼玉戦で完投勝利を挙げた愛知ディオーネ・里綾実【写真提供:日本女子プロ野球リーグ】

9年前の4月23日は女子プロ野球がスタートした特別な日

 マドンナジャパンのエースでもある愛知ディオーネの里綾実投手が23日、わかさスタジアム京都で行われた女子プロ野球・春季リーグ埼玉アストライア戦で先発。3点を先取されたが粘りの投球で7回3失点。完投勝利で2勝目を挙げた。試合は5-3で愛知ディオーネが勝利した。

 里は2回、埼玉の4番・今井、5番・みなみに連続ヒットを浴びるなど、無死二、三塁のピンチを招くと、6番の泉由希菜に高めの球を右中間のラッキーゾーンへ運ばれた。投手戦が予想された一戦だったが、思いもよらぬ展開で均衡が破られた。

 3回から5回までは無安打に抑えるなど、本来のピッチングを取り戻した里。アストライア打線に追加点を許さなかった。埼玉先発の若手有望株・水流も5回に内野ゴロの間に1点を失った以外はテンポの良いピッチングを披露し、試合は最終回の7回へ進んだ。

 愛知は1死から、埼玉の2番手の海老を攻め、8番・一尾、9番・浅野が連打で二、三塁とすると、1番の西山が右中間を破る同点適時二塁打。3番手の谷山から4番の三浦が一死満塁から勝ち越し適時打を放ち、試合をひっくり返した。さらに寺部の犠飛で1点を追加した。

 2点リードをもらった里は2回に3ランを浴びた泉由希菜にプロ通算100安打となる一打を許したが、粘りの投球。愛知ディオーネが終盤の集中力で逆転勝利を収めた。「粘って、その後に追加点を許さなかったのは大きな自信になりました。リズムの良いピッチングをしていれば絶対に点を取ってくれると信じ切れてました。そして…やってくれました!!最終回にみんなの気持ちが1つになり全員で点をとることができました」と喜んだ。

 里は登板した4月23日への思いを口にした。

 2010年4月23日、京都フローラの前身球団である京都アストドリームスと、愛知ディオーネの前身球団である兵庫スイングスマイリーズが日本女子プロ野球リーグとしての開幕戦を戦い、スマイリーズの背番号18、小西美加(現フローラ)が完封勝利を収めた。新たな一歩目を踏み出した女子野球にとって特別な日だった。

「色んな困難を乗り越えながら、10年目の日にマウンドに立つことができました。2回に2連打からの3ランを打たれて、ビハインドの状態から粘りの投球ができました」

 女子野球、女子プロ野球を取り巻く環境は大きく変わった。困難があっても、全員の力で乗り越えてきた。9年を経た平成最後のわかさスタジアム京都開催。試合終了の瞬間にマウンドに上がっていたのは、スマイリーズから想いを継承した背番号18だった。これまでの歩みを体現するようなマウンドだった。

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