BCリーグが「キャリアサポートセンター」立ち上げ「経験を次のキャリアに」

株式会社ジャパン・ベースボール・マーケティング運営部キャリアサポートセンター事務局担当の吉川孝介氏【写真:広尾晃】
株式会社ジャパン・ベースボール・マーケティング運営部キャリアサポートセンター事務局担当の吉川孝介氏【写真:広尾晃】

「26歳定年制」により、セカンドキャリアは選手の現実問題に

 ルートインBCリーグが、選手のセカンドキャリアを従来以上にサポートしようと「キャリアサポートセンター」を立ち上げた。

 ルートインBCリーグを運営する株式会社ジャパン・ベースボール・マーケティングが、栃木ゴールデンブレーブスを運営する人材企業の株式会社エイジェックと提携し、選手のセカンドキャリアを従来以上に強力にサポートする狙いで立ち上げた。

 ルートインBCリーグの11球団には合わせて約300人の選手がいる。多くの選手の目標は、NPBにステップアップすることだが、毎年ドラフトで指名されるのは数人にとどまる。また、リーグは2018年度から「26歳定年制」を導入。「オーバーエイジ枠」は設定されているものの「26歳定年制」によって選手はセカンドキャリアを現実問題として向き合わざるを得なくなった。

 個人的に準備をする選手もいるが、中には踏ん切りがつけられず、国内の他の独立リーグに移籍する選手や、海外の独立リーグにチャレンジする選手もいる。自分の可能性を追求する姿勢は一概には悪いとは言えないが、年齢を考える中で、野球以外の未来に活路を見出すことも重要だ。

「選手の多くは漠然とした不安を抱きながら現役生活を続けています。そんな彼らが、独立リーグで経験したことを、次のキャリアに活かしてもらいたいと考えています。彼らのことを一番よく知る、栃木ゴールデンブレーブスの初代監督で、今は株式会社エイジェックスポーツ総合事業部の辻武史事業部長とも一緒にサポートしていきます」

 株式会社ジャパン・ベースボール・マーケティング運営部キャリアサポートセンター事務局担当の吉川孝介氏は語る。吉川氏自身も関西学院大学野球部を経て、関西独立リーグの兵庫ブルーサンダースで投手としてプレーした経験を持つ。それだけに、選手のセカンドキャリアの問題は他人事ではない。

 一方で、少子高齢化が進む中、多くの業界では人材不足に危機感を募らせている。特にルートインBCリーグが展開する地方都市では、大都市圏以上に人材難が深刻化している。四国アイランドリーグplusでも、球団が企業と選手のマッチングを行うなど、セカンドキャリアへ向けた取り組みが活発化している。このタイミングでのキャリアサポートセンターの開設は、時宜を得たものと言えるだろう。

 キャリアサポートセンターでは、全選手を対象にしたアンケートを実施し、選手の要望や身につけたい知識、スキルを探る。そして実社会で役立つマナーやビジネススキルの教育を実施。さらに、選手のセカンドキャリアを支援するサポートカンパニーや、その他の一般企業とのマッチングなども行い、セカンドキャリアへ向けてシームレスなアプローチを行う。

 心おきなく選手生活で全力を出し切るためにも、セカンドキャリアは重要だ。キャリアサポートセンターの果たす役割は今後ますます重要になっていくだろう。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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