横須賀で育って横浜で活躍― ベイスターズ新ファーム施設に込められた想いとは
「選手間同士・スタッフと選手・スタッフ同士のコミュニケーションが起きる」空間作り
建設に当たって、球団は実際に施設を利用する選手やトレーナー、スタッフらにヒアリングを実施。「『ここに屋根をつけてほしい』『素振りができるスペースがほしい』『練習施設へのアクセスをよくしてほしい』など色々な意見が出ましたね。その意見を参考に、寮を基軸としてグラウンドや室内練習場へのアクセスは非常に短くなりました」(上林さん)と、しっかり要望が反映された施設となっている。
そして、施設内のメインとも言えるのが、洗練されたスタイリッシュなホテルを思わせる選手寮「青星寮」だろう。桑原さんは「デザイン性だけではなく、利便性という点でも、ベイスターズならではのこだわりがあり、誇りが持てる施設ですね」とキッパリ。青星寮を含む施設全体のデザインを担当したのは、横浜スタジアムに隣接する複合施設「THE BAYS」を手掛けたデザイン会社で、横浜と横須賀におけるコンセプトの繋がりが見える。
「横須賀は選手が過ごす場所ということで、本当に選手目線、スタッフ目線になって考え、デザインを固めていきました。家具メーカーさんもデザイン会社さんも一生懸命に、どうやったら選手のモチベーションが上がるか、どうやったら過ごしやすいか、色々な情報を集めて下さいました」(桑原さん)
「設計段階から色々な方に協力していただき、デザインやインテリアは我々の想像以上にカッコいい仕上がりになりました。当初、こちらからお願いしていたのは、選手が刺激を受けながら自立できる、選手間同士・スタッフと選手・スタッフ同士のコミュニケーションが自然と起きるような空間作りをしてほしいということ。それを見事に形にしてくれて、こんなに立派なものが出来上がるんだと完成した時は驚きました(笑)」(上林さん)
地上3階建ての新青星寮には「ANCHOR(アンカー)」「MAST(マスト)」と名付けられた2つのトレーニングフロアと、治療をしながらトレーニングフロアを眺められる治療室「COMPASS(コンパス)」、屋根付きのテラスにそのままアプローチ可能な多目的利用できるコンディショニングルーム「D-DECK」を設置。選手がトレーニングに利用できるエリアは、以前は寮内に存在しなかったため、選手がいつでも練習できる環境を整えた。食堂やトレーニングフロアなど共用エリアは全てガラス張りで、屋外練習場、その先には横須賀スタジアムを望むことができる。コーチやスタッフが利用する管理棟も屋外練習場サイドに大きな窓が設置され、作業をしながら練習の様子を見られると好評だという。