「何気ない変化に気づくこと」西武を支えるトレーナーが心がけること【パお仕事名鑑Vol.3】
トレーナーのやりがいは「若い選手が成長して1軍で活躍してくれる」
競技はもちろん、男女や瞬発系と持続系、さらにチームが変われば方針、選手の意識、目指すものも違う。こうした幅広い経験もまた今に生きているのだ。さて、それでも野球の経験がそれほど豊富ではなかったが、いきなりプロ野球、ハードルは一気に上がった。
「会社の先輩もライオンズでトレーナーとして携わっていたので、それがきっかけでした。プロ野球のイメージは、日本でトップのスポーツで、選手たちも日本でトップ。しかも私が入った2009年は、ライオンズが前年に日本一になった年。正直言うと入る前は恐いと思ってたんです(笑)。それがみんな話しやすいし、優しかった。今の渡辺久信GMが当時の監督だったんですが、すごくフランクに話してくれたのを覚えています」
常勝軍団のライオンズ。ファームでも選手の意識は高かったのではないだろうか。
「その部分では緊張感がすごかったですね。ベテラン選手も結構いましたし、層が厚くて1軍に上がれない選手も多かったですから。そういう選手も今スター選手になっている。毎日緊張しながら仕事はしてましたね」
こうした層が分厚い中から成長していく選手。その成長を支えるトレーナーという仕事において、中村さんにとってのやりがいとはどこにあるのか。
「若い選手が成長して1軍で活躍してくれる。うれしいですよね。私も2軍での仕事の後、そのままメットライフドームに顔を出して応援したりもします。結果が気になっちゃいますからね。もうひとつはトレーナーがチームとなっていること。以前は職人気質といいますか、自分が100%やっていればいいという環境でもありました。でも今は、自分にないものをチームの人から聞く、共有する。それぞれが気づいたことを持ち寄って、それが選手にプラスになればいい。チームでやっていけるという楽しさがあります」
現場で選手と共に一喜一憂したい。チームの一員として喜びを共有する幸せを求めて、トレーナーという仕事を選んだ中村さん。今、トレーナー同士がチームとなって、そして、寮のスタッフ、監督、コーチなど、皆とともに選手のために何ができるかを考える。チームワーク、それが中村さんにとって大切なことであり、幸せなことなのだ。では、このチームの一員になれるのはどんな人だろうか。
「協調性とコミュニケーション。自分が自分が、ではダメですし、自分の領域のここだけでやれればいいでは成り立たちません。選手やほかの人の話を聞けて自分も出せる。難しいですけど……」
その気持ちがあれば、きっとチームの一員として、選手と共に自分も成長できるのだろう。
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(「パ・リーグ インサイト」岩瀬大二)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)