【U-18W杯】「昨日を思い出せ!」―米国撃破の侍ジャパン、死球&不振の主将を救った声
「こんなに打てない時期が続くのは初めてです…」
苦しいのは右腕の痛みだけではない。今夏の奈良大会では通算5本塁打と大会記録を更新するなど打率.682を誇った打撃が影を潜めた。甲子園での八戸学院光星との試合も全打席出塁した。しかし、木製バットへの対応が遅れ、初戦のスペイン戦、2戦目の南アフリカ戦はノーヒット。定位置だった打順も2番から8番に下がり、米国戦は9番だった。
「こんなに打てない時期が続くのは初めてです……」
1日1200スイングしてきた男に訪れた試練。スイング数だけでは解消されない大きな課題だった。南アフリカ戦後、永田監督は小針崇宏コーチ(作新学院)に「坂下のバッティングを見てやってくれ」と頼んだ。試合後、他の選手が引き上げる中、すぐにネットに向かってティー打撃が始まった。
「ボールに入るまでの動きはいいけど(打つ瞬間に)力が抜けてしまっていました。だから、もっとヘッドを走らせよう、という話をしていただきました。もっと使っていけば打てるから、と。練習でつかめたので、焦りがなくなりました」
木製バットはしっかりと芯に当てないとそう飛ばない。飛ばそうという意識が強くて、力を入れたからと言っても、飛ぶわけでもない。そのバランスが重要だ。坂下の輝きを取り戻そうと、コーチも必死だった。