突然の守備変更で訪れた転機 4年前にU-18W杯から学んだ「変わること」の大切さ
同級生・小笠原(中日)や平沢(ロッテ)らがプロの道へ進むも、杉崎は社会人野球で技術を磨く
さまざまな思いが駆け巡った4年間だった。すでに高校から東海大相模の同級生・小笠原慎之介投手(中日)や、同じ遊撃手だった平沢大河内野手(ロッテ)らがプロ入り。同じ場所に立つために戦ってきたが、今の自分を見つめ、杉崎は社会人で野球を続けることを決めている。夢を諦めたわけではない。
「直接、プロに行った(W杯の)メンバーは気になりますよ。投手は別として、平沢(大河)、オコエ(瑠偉)、堀内(謙伍)……同じ野手なので、自分が目指すステージに今、いるというのは刺激にもなりますし、自分も早くそういう世界にいきたいとは思います」
韓国・機張(きじゃん)では今、「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」が行われている。若き侍戦士たちが初の世界一へ向けて戦っている。今年のメンバーは外野手が少なく、内野手、特に遊撃手のできる選手が多く、遠藤成(東海大相模)、森敬斗(桐蔭学園)らが左翼、中堅を守っている。杉崎も4年間、内野手として選ばれたが、チームメートだった豊田寛(東海大相模→国際武道大)が左ひざに死球を受けて負傷したため、スーパーラウンドから左翼で出場することになった。
「内野手はいっぱいいて、二遊間を平沢と津田翔希(浦和学院→東洋大)が守って、自分が一番、その中では守備が下手だったので、西谷監督(大阪桐蔭)から『レフトやれるか?』と言われました」
試合に出たい気持ちが一番だった。答えはひとつ。「やれます」――。中学時代は捕手と遊撃手。外野手の経験はなかった。国際大会でいきなり、左翼に就いた。
「とても緊張しましたね。“飛んでくるな”と思っていました。でも、あんまり飛んでこなかったかな(笑)。投手が僕のところに打たせたくなかったと思いますよ」
出場のチャンスをつかんだ杉崎はここから打撃の状態も上がっていった。スーパーラウンドの第1戦のカナダ戦では「2番・左翼」で出場し、4打数2安打1打点と勝利に貢献。韓国戦は1番で起用され、2戦続けてマルチ安打で12-0と大勝。米国との決勝も1番に入り、安打を放った。木製バットも最初はうまく扱えなかったが、次第に対応できるようになった。
「最初は苦しみました。飛ばそう、飛ばそう、と大振りになっていました。西谷監督からのアドバイスや慣れもあって、少しずつ対応できるようになりました。大振りになっていたこと、それで目線がブレてしまっていたことを修正しました。長打を求められる打者でもなく低いライナー意識でやれという練習したら、慣れてきましたね」