【プレミア12】「復調を待ってたら終わってしまう」―白星発進の侍J、坂本に代打を送った意味

最大の課題はやはり動くボールへの対応か

 一方で、課題も見えた。ベネズエラ先発の元レッドソックス左腕ドゥブロンの前に侍ジャパン打線は4回1安打無得点と苦戦。カットボールに苦しめられた。これまでの国際大会と同じように、外国人投手特有の「動くボール」をどのように攻略するかは、間違いなく世界一への鍵の一つとなる。

「カットボールを内から外からも、という投球に苦戦しました。カープのジョンソンみたいなイメージだったのかなと。見逃し三振もいくつかありましたが、アンパイアのストライクゾーンもそんなにおかしいとは思いませんでした。両チームとも同じような感じで(ストライクを)取っていたので、それは言い訳にはできない。ドゥブロンはレッドソックス時代からああいうタイプで、もう少し球は速かったかと思いますが、中南米系の国のピッチャーのツーシーム、カットボールというムービングファストボール、速くて動く球への対応力はやはり課題になります。先程もいいましたが、鈴木あたりは3打席目で『代わってくれてありがとう』という感じに見えましたから」

 さらに、「日本シリーズ出場組」の状態についても、不安が見えたという。

「松田はバントの失敗があって、打つ方も内容があまり良くありませんでした。丸もまだまだですが、右翼線への鋭いファウルを見る限り、日本シリーズのときほど酷くはないと思います。ただ、坂本の状態はどんどん悪くなっていますね。あれだけボールを迎えに行ってしまうとポイントがズレて捉えきれない。ボールに寄って行ってしまってる。この試合については、相手の失投のスライダーもボールゾーン近くの高いところに行っていた。それを追いかけていましたが、あとボール1つ分低いボールであれば、1球くらいは捉えてヒットになっていたかもしれません。そうなれば気持ちが楽になってきて、あれほどの実力者なので調子を取り戻していく可能性はありましたが、状態が悪い時に限って甘いところには来ないものです。相手の投げミスもボールゾーンに行ってしまって、それに手を出してしまってとなってくると……。状態が悪いときはそういう悪循環になってしまう。何かきっかけがあれば、と思うのですが……」

 侍ジャパンでもキーマンの一人となるだけに、早く本来の姿を取り戻してもらいたいところだ。

 一方でこの坂本、松田も含めて日の丸の経験が豊富な選手もいるのは、今回のチームの長所ともなっている。野口氏は、試合全体を通しての印象としては「落ち着いていたというか、そういうふうに見えましたね。日本の選手はあまり焦っていなかったというか、いつか逆転できると思っているように見えました」とも語る。周囲が思っているほど、実はチームとしては“ヒヤヒヤ”ではなかったのかもしれない。

 たとえ苦戦しても、勝ちながら状態を上げていく。オープニングラウンドはそんな試合が続くことになるのだろうか。

○『世界野球プレミア12』の主な予定(テレビ朝日系列で放送)
11月5日(火)午後6時45分~ 開幕戦「日本×ベネズエラ」
11月11日(月)午後6時45分~ 「スーパーラウンド」
11月13日(水)午後6時45分~ 「スーパーラウンド」
11月17日(日)「決勝」

(Full-Count編集部)

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