話題の解説者・お股ニキが読む今季WSのポイント アストロズは「ちょっと依存…」

お股氏が「すごく分かるようになった」という森祇晶氏の言葉

 こう考えるようになったのも、最初は自身の理論や考えを発信する場であったツイッターを通じて、カブスのダルビッシュ有投手をはじめ、実際のプロ野球選手とやりとりし始めたことにも影響を受けているようだ。

「結局、人がやるスポーツなんですよね。昔、森祇晶さんが『最後は人を読むことが大事』というようなことを言っていたんですけど、実際に選手とやりとりをするようになって、その言葉がすごく分かるようになりましたね。性格面も考えながら『最終的には、あの選手はこうするだろう』みたいに考えるようになりました」

 100年を超える歴史を持つ野球は、これまで様々な変化を遂げてきた。最近だけでも、フライボール革命が登場したり、申告敬遠が採用されたり、時速150キロを超えるスピードボールが特別ではなくなったり、日々その形を変化させている。では、お股氏がスラッターを「万能変化球」とする理論も、今後変わる可能性はあるのだろうか。

「僕は2010年代の前半から、ジャイロスライダーみたいな球が主流になるって言っていました。それが今のスラッターです。でも、これから新しい球種が開発されるかといったら、されないような気がしていて。有効なボールは出尽くしている気がして、ここから新しい魔球が生まれるというよりは、ボールの精度を上げたり、30キロくらいのボールをフワッとコントロールよく投げたり、スラッターと真逆の変化をつけたり(意図してスライダーの投げ方で2シームやスプリット、ジャイロシンカー的に曲げたり)するしかないような気がするんです。

 スラッターも完全な魔球ではないので、WSのナショナルズのように当てられる。ここで何が大事になるかというとストレート。今はストレートの割合を減らすのが主流ですけど、スプリットやチェンジアップのようにスラッターと逆に曲げて打者の目線を変えてみたり、落ちるボールを意識させてライジング気味のフォーシームを投げてみたりする。出尽くした球種の精度を上げたり、どう配球するか選択のセンスだったりが大事になるのかもしれません」

 お股氏の“予言”は、再び現実のものとなるのか。10年先、20年先の野球がどう変化、進化しているか、楽しみだ。

<プロフィール>
お股ニキ(@omatacom)
レアルマドリードの大ファンで、野球経験は中学の部活動(しかも途中で退部)までだが、様々なデータ分析と膨大な量の試合を観る中で磨き上げた感性を基に、選手のプレーや監督の采配に関してツイッターで発信し続けたところ、2万8000人以上にフォローされる人気アカウントとなる。ツイッター上でのやりとりで交流が始まったカブスのダルビッシュ有選手をはじめ、多くのプロ野球選手や専門家から支持を集める謎の「プロウト(プロの素人)」解説者。著書に『セイバーメトリクスの落とし穴 』(光文社新書)。11月28日には新刊「なぜ日本人メジャーリーガーにはパ出身者が多いのか」(宝島社新書)を発売。日本のプロ野球に厳然と存在するセパの格差について、データと独自の視点から分析、評論している。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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