大谷翔平の完封、「10・2決戦」、西武連覇… パ・リーグ優勝決定試合を振り返る
2016年は日本ハムが怒涛の15連勝をマークし追い上げ、大谷翔平投手が完封
○2016年9月28日 日本ハム対西武(西武プリンスドーム)
リーグ3連覇を狙ったソフトバンクは序盤から快調に首位を走り、前評判通りの戦いぶりで独走態勢を築いていた。対する日本ハムは開幕から数か月はなかなか調子が上がらず、5月が終了した終了時点で勝率.520、順位は3位。首位に立っていたソフトバンクとは、最大で11.5ゲームという大差をつけられていた。
しかし、日本ハムは6月19日から7月11日まで球団新記録となる怒涛の15連勝を記録するなど、中盤戦に入ってから猛烈な追い上げを見せ、8月25日にはついにシーズン初の首位浮上を果たす。その後も両チームは一進一退の戦いを続けたが、敵地で行われた9月21日からの直接対決で連勝を飾った日本ハムが一気に優位な状況に。優勝マジックを点灯させてからはその数を順調に減らしていき、マジック「1」の状況で28日の試合を迎えた。
この試合の先発マウンドを託された大谷翔平投手は初回から鬼気迫る投球を見せ、西武打線を全く寄せ付けない。打線の援護は4回にレアード選手が放ったソロによる1点のみだったが、この日の大谷投手にとってはその1点で十分だった。許した安打は5回に森友哉捕手に打たれた1本のみ、四球を含めた走者もわずかに2人。9回を15奪三振で完封というまさに完璧なピッチングを見せ、チームを歓喜の瞬間へと導いた。
○2017年9月16日 ソフトバンク対西武(メットライフドーム)
この年はスタートダッシュに成功した楽天が序盤から首位を走り、2013年以来となるリーグ優勝に向けて快進撃を演じた。しかし、王座奪還を狙うソフトバンクも徐々に調子を上げていき、熾烈なデッドヒートが繰り広げられていく。さらに、7月から8月にかけて13連勝を記録した西武も上位2チームを猛追。8月中旬まで、三つ巴の優勝争いが続いた。
しかし、シーズンが終盤に差し掛かるにつれて、厚い選手層を誇るソフトバンクが底力を発揮。徐々に他の2チームを引き離して独走態勢を築いていき、勝てば優勝という状況まで持ち込んで、楽天をかわして2位に浮上した西武との直接対決に臨んだ。試合はこの年にシーズン最多勝に輝いたソフトバンク・東浜巨投手と、自己最多タイのシーズン11勝を記録した西武・野上亮磨投手の投げ合いとなった。
西武は2回裏に山川穂高内野手のソロで1点を先制するが、ソフトバンクは4回表に柳田悠岐外野手の2ランで一気に試合をひっくり返す。続く5回表には3本の適時打で4点を奪い、7回にはデスパイネ外野手のソロで1点を追加。東浜投手は6回1失点の好投で救援陣にバトンを託し、モイネロ投手と岩嵜翔投手も無失点リリーフを見せる。9回にサファテ投手が外崎修汰内野手の適時打で2点を失ったものの、それ以上の失点は許さず逃げ切り。ソフトバンクが2年ぶりのリーグ優勝を果たした。
○2018年9月30日 西武対日本ハム(札幌ドーム)
この年の西武は序盤から看板の強力打線が猛威を振るい、圧倒的な打力を武器にリーグを席巻。開幕8連勝を記録して早くも一歩抜け出すと、そのまま快調に貯金を積み重ねていく。シーズン中盤までは日本ハムが、終盤にはソフトバンクが追撃を見せたものの、いずれもメットライフドームで行われた直接対決でしっかりと差を広げ、付け入る隙を与えなかった。
優勝マジック「1」の状況で迎えた札幌ドームでの一戦は、先発のウルフ投手が4回1/3を4失点(自責点3)と試合を作れず。打線も6回に栗山巧選手が放った犠飛の1点のみに抑えられ、1対4で敗戦。自力で優勝を決めることはできなかった。しかし、マジック対象チームだった2位のソフトバンクが同日の試合でロッテに敗れたため、西武の優勝が決定。2008年以来、ちょうど10年ぶりとなる頂点に立った。