MVP森は捕手史上4人目の首位打者、山川&中村で73発243打点…西武19年打者陣

西武・中村剛也、森友哉、山川穂高(左から)【写真:荒川祐史】
西武・中村剛也、森友哉、山川穂高(左から)【写真:荒川祐史】

「獅子おどし打線」に穴など作らせなかった男

 2018年、2019年と優勝を飾り、パ・リーグ連覇を飾った西武。昨季は1度も首位の座を譲ることなくシーズンを駆け抜けたが、今季は130試合目にして首位に浮上。ソフトバンクとの熾烈な優勝争いの末、9月24日に優勝を決めた。今回は、特集「シーズンレビュー2019」で試合を振り返り選手にフォーカス。前編は投手を中心に、後編は野手を中心に西武の2019シーズンを振り返っていく。

 当然のことながら、打線は個々の力では機能しない。それぞれの打順の選手がその役割を果たすことで、リーグ屈指の「獅子おどし打線」を形成したといえよう。そこで今回は、まずはテーマごとに選手を取り上げたい。

 毎年、主力野手の移籍が目立つ西武。2018年オフもその例に漏れず、扇の要である炭谷銀仁朗捕手が巨人へ、そしてキャプテンの浅村栄斗内野手が楽天に移籍した。こうしたことから、開幕前はチームの打力低下が懸念されていたことは否定できない。しかし、シーズンが終わってみれば、チーム打率.265(リーグ1位)、174本塁打(同2位)、718打点(同1位)、134盗塁(同1位)と昨季に比肩する「獅子おどし打線」を実現させた。

 上記のことから、昨季以上の活躍を見せ、チームの穴を埋めた選手がいるはず。その筆頭が森友哉捕手だ。炭谷の移籍によって「1人立ち」を求められた今季、打率.329の好成績を残し、パ・リーグの捕手では1965年の野村克也氏以来、そして自身初の打撃タイトルとなる首位打者を獲得。ただ、より注目したいのはリーグトップの得点圏打率.411という数字が示すその勝負強さだ。規定打席到達打者で、得点圏打率が4割の大台に乗っているのは両リーグ合わせても森のみだ。昨季の打点王に輝いた浅村の得点圏打率は.369。単純に比較できない数字ではあるものの、その穴を十分に埋めたことは間違いないだろう。

 森の魅力といえば、全身を使った豪快なフルスイング。実際のところ、今季は23本塁打、長打率.547と長距離砲としての役割も十分に果たしている。ただ、今季はその卓越したバットコントロールが光ったシーズンであるとも言えるだろう。時には持ち味のフルスイングを封印し、足を上げる高さ、タイミングなどを細かく調節。ミートに徹することで昨季から32本増の162安打を放った。

 来季への課題は守備力のさらなる向上だろう。クライマックスシリーズでは痛恨の捕逸で悔しさも残った。来季の春季キャンプでは、今季のキャンプ以上に守備練習に打ち込む姿が見られるのではないか。

豪快打線に潜む2人のスピードスター

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