野球界の未来を担う子供たちへ 元横浜監督・渡辺氏、燕斎藤C、レッズ秋山ら指導者に熱弁
「第3回神奈川学童野球指導者セミナー」開催、指導者や医療関係者など約500人参加
野球を好きな子どもたちの未来を考えるため、神奈川県に縁のある野球人が一堂に会した。19日、横浜市内で「第3回神奈川学童野球指導者セミナー」が行われ、元横浜高野球部監督の渡辺元智氏、ヤクルトの斎藤隆1軍投手コーチ、レッズ秋山翔吾外野手らが登壇。野球をより魅力のあるスポーツとし、より多くの子どもたちに親しんでもらいたいという共通の思いを胸に、それぞれの思いを熱く語った。
開会の挨拶に臨んだ渡辺氏は、1968年秋から2015年夏までの長きにわたり名門・横浜で指揮を執り、春夏通算5度の甲子園優勝の実績を持つが、「指導者としては失敗だらけの人生だった」と振り返る。監督在任中にも時代は流れ、子どもの気質や指導スタイルが大きく変化。厳しい指導は過去の物となり、現在は子どもの将来を見据え、個性を伸ばすスタイルが主流となりつつある。
その変化の中でも渡辺氏が目指し続けてきたのは、選手が社会に出ても成功できる人間力を育てることだ。会場に集まった指導者たちに「一流のアスリートを育てることも大切だが、日本の将来を背負っていけるような人を育ててほしい」と訴えると同時に、「楽しいだけは頼もしい人間は育たない。単に楽しいだけではなく、努力して耐えることも身に付けながら、たくましく生命力を養ってもらいたい」と伝えた。
横須賀市で生まれ育ち、横浜創学館高に通ったレッズ秋山は、父の影響でバットとボールに親しんだ幼少期を回顧。指導者に向けて「きっかけを与える、考えさせることが大事」と話し、簡単に答えを与えるのではなく、子どもたちが自分の力で考える時間を持てるような接し方を勧めた。また、球数制限であったり、野球人口の減少であったり、旧態依然とした指導者の存在であったり、近年ネガティブな面が強く押し出される風潮についても触れ、「(子どもたちに)そういう危機感を感じさせながら(野球を)やらせている」現状を憂慮。「子どもたちが長く楽しく野球ができるように」大人たちが一丸となり、野球界を盛り上げることを呼びかけた。