いったいなぜ… 日韓の争奪戦で韓国球界を選択する外国人選手の理由を分析
NPBに比べると資金力がなさそうに見えるKBOをあえて選ぶ理由は…
2019年オフ、NPB各球団はMLBで素晴らしい実績のある大物外国人選手を次々に獲得した。アダム・ジョーンズ、アルシデス・エスコバー、ジャスティン・ボーア、ヘラルド・パーラ、マット・ムーアら錚々たるメンバーである。
ただ一方で、近年海外移籍を目指す新外国人選手の動きを見ると、必ずしもNPBがファーストチョイスになっていない現実も見えてくる。各球団のライバルになっているのは、アジアのライバル・韓国だ。例えば、韓国プロ野球(以下KBO)の起亜タイガースが獲得したドリュー・ギャノンという投手は日韓の球団で争奪戦になっていたという噂もあった。一見NPBに比べると資金力がなさそうに見えるKBOをあえて選ぶ理由はどのあたりにあるのだろうか。
まずKBOにおける外国人選手枠のシステムを解説したい。KBOでは外国人選手保有について厳しい制約が存在する。1球団が保有できる外国人選手は3人。うち1試合に起用できる選手は2人までとなっている(2020年から1試合3人起用も可能になるようだ)。そして、年俸にも上限が設けられている。初年度の年俸の上限は契約金などを含めて100万ドル(約1億1000万円)だ。
近年は1人の野手を打線に据え、2人の先発投手と契約しローテーションを任せる構成がトレンドになっている。2人の先発は同じ試合に起用する必要がないため、野手1人とあわせ、3人枠をフル活用しているような形である。外国人先発と同じ試合で起用できず出番が限られることになる救援投手、特にクローザーは人気がなく、ここ10年ほどを振り返ってもわずか5例。2014年にハイロ・アセンシオがプレーした起亜を最後に、クローザーを獲得する球団は存在しない。