球団経営と企業経営は「全く一緒」 ロッテ河合オーナー代行が語る「経営論」

「ブランディングがしっかりできれば、お客さんは必ず来てくれる」

 プロ野球とはファンの存在に支えられて成り立つもの。チームが強い=魅力があればファンは自然と球場に足を運ぶ。チームが弱ければ=魅力がなければファンに振り向いてもらえないし、経営陣の自己満足では破綻してしまう。こういった球団経営の図式は、企業経営の図式と何ら変わりはないという。

「結局、球団の経営も一般の企業の経営も、経営というところは全く一緒です。私はずっとお菓子のマーケティングをしていましたが、球団に置き換えてみると、チームが商品、お菓子にあたるわけです。お菓子の広告を出す時には、中長期的に作っていくのはブランディング。これは今、広告を出したからすぐに効果が出るというものではなく、先行投資をしながら何年か積み重ねることが大事。最初のうちは効果があるのかないのか分からない。でも、ブランディングがしっかりできれば、プル(pull)型の広告と言いますが、お客さんは必ずそのブランドを買いにきてくれます。だから、マリーンズというチームのブランド価値を上げるには、中長期的にチームを強化しなければいけない。そこに投資して面白い試合をすれば、ファンは必ず見に来てくれます。

 一方で、時には短期での効果を見込むプッシュ(push)型の広告も必要です。たまに、お菓子をセールスしたり、キャンペーンをしたりしますから、最近のウィークデーは観客動員が少ないぞ、となった時は、事業部門でアイディアを出して盛り上げることも大事。その塩梅をみんなで考えながらチームを運営していくのは、ビジネスとしてお菓子を売ることと、何ら変わりはないと思っています」

 チーム強化という点でも、短期的な施策と中長期的な施策を並行して進めることが鍵となる。まずは、シーズン143試合という長丁場を通じて、選手たちが最高のパフォーマンスを出し続けられる環境を整えること。昨年から積極的にトレーニング方法やメディカル体制を見直し、改善することに努めた。その代表例が、順天堂大学医学部との提携だ。

「これまで、チームを支える土台の部分に大きな穴がたくさん空いていたんですね。どこから穴埋めしていくべきか、それは監督、コーチ、球団本部、みんなが同じ方角を向いて納得できている。まず取りかかったのがメディカル部門の充実です。これは今まで全くないに等しかった。順天堂大学医学部附属浦安病院が球場に近いことに加え、『乳酸菌ショコラ』の開発で交流があったので相談してみたら、専門チームで対応しましょうと積極的に言っていただけました。メディカル体制の充実は、FA選手獲得のセールスポイントにもなるし、新入団選手の親御さんも安心させられる。常に優勝争いに絡むチームにするには、こういった土台は大切です」

忘れられない2005年日本S第1戦 「神様が下りてきたと思うくらい幻想的で」

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