不惑の燕左腕石川、若手に「まだ負けねえぞ」 通算200勝へあと29勝「あと2年で…」
長持ちの秘訣は「敏感と鈍感をうまく使い分ける」
――今季は高津監督が就任
「僕は、監督がプレーヤーの時も一緒にやっていましたし、コーチの時は一緒に優勝させてもらった。僕自身、ピッチャーの監督が初めてですし、どういう野球をするのかというのは正直まだ分からないわからないですけど。勝負事には厳しい方だと思うので、そういう意味ではベテランとか関係なくいい選手を使うと思うんですよ」
――いい選手を使う
「僕らが結果を出すんですけど、僕自身、高津監督がどういう野球をするのかがすごく楽しみではありますね。風通しのいいチームにしようと言って下さっているので、すごくいい雰囲気です。結果を出すのは僕らなのでやるしかないですよね。(昨年は)一番下(最下位)だったので、もう上しかないですよね。下馬評が低い方が燃えるので、やりますよ」
――怪我をしない体づくりで気を付けていることは?
「時として敏感にならなきゃいけないし、時として鈍感にならなきゃいけなくて。怪我に関しては敏感にならなきゃいけないですけど、僕ら野球選手はどこかしら、何かありながらゲームに出ていて、万全なんてありえない。そういう意味では、時として怪我をしないように鈍感にならなきゃいけない。痛みには敏感だけど、その痛みによって行ける痛みだったら行かなきゃいけないし。そのバランスというのが難しい。その敏感と鈍感をうまいこと使い分けなきゃいけないと常々思っています」
――その考え方は以前から?
「僕はローテーションを空けると誰かにチャンスが行くと思ってるので。打たれて変わるなら仕方ないですけど、怪我して空けちゃダメなんですよ。僕は球が速くないですが、その中で一番大事にしているのは、投げてほしい時にいる存在であること。中4日でも中3日でも、『行けるか』と聞かれたら『行けます』といえる。先発ローテ投手がみんな怪我をしてしまっても、石川がいるからなんとか粘って、という存在でいたい。敏感と鈍感のいいバランスをと取ってやりたいなと思っています」
――バランスをとるのはすごく難しい
「僕だって痛くないわけはないし、でも投げたいし、投げなきゃだし。ギリギリのところでやっているかなと思います」
――鈍感をもう少し具体的に?
「鈍感にしているという感じですね。俺は痛くないんだぞ、大丈夫なんだぞとか。気にせずやるしかないので。それでたまたま怪我なくこられているから言えるだけで、これで怪我をしたらだめなので。あまりみんなに言えることではないけど。みんなどこかしら痛いので。チャンスというのは簡単に来ない。いい選手というのは、そこにポンと入って勢いよく行きますからね。怖いですよね。だから、常に危機感はあります。年齢と実績で飯を食える世界ではないので、そこはやるしかないかなと」
ざっくばらんに本音を語ってくれた石川。若手投手の台頭を歓迎する一方で「まだ負けねえぞ、勝負したい」などと語り、自身への刺激にしているようだ。昨季までの18シーズンで2桁勝利11度、投球回数が2桁に終わったシーズンは1度だけ(2007年)。40歳代の開幕投手は1998年の広島・大野豊氏以来、プロ野球史上5人目の偉業だ。長きにわたってヤクルトの先発マウンドを守り続ける男の矜持を感じたインタビューだった。
(新保友映 / Tomoe Shinbo)