仙台一高から東大に現役合格した関戸悠真さん 野球と勉強の“共通点”は?
硬式野球部では「芸人班」に、東大では「ラグビーをやってみたい」
夏まで部活動中心の生活ながら、こうした思考を持って東大に現役で合格。それも、志望してから3か月ほどで、だ。さぞかしガリ勉で生真面目な性格なのだろうと思っていたが、千葉監督の「面白い子なんです」の言葉通りの人間だった。関戸は取材に、センター試験の時に着用した元号「令和」が左胸にプリントされたパーカーで登場。写真撮影用に参考書をお願いしていたら、ボロボロの単語帳のみならず、小学6年時に使っていた算数のドリルまで持ってきていた。仙台一の硬式野球部には「芸人班」があり、関戸もその一員だったそうだが、こんな日までネタを仕込んでくるとは…。
中学3年の秋、仙台一の文化祭を見て「自分は“バカなこと”をするのがすごく好き。この学校だったら本気で“バカなこと”ができるんじゃないかなと思ったのが最大の決め手」と進学を決意。練習試合後に相手校を見送る時、一発芸やショートコント、漫才などをする芸人班に選ばれた時は「運がよかった」と喜んだという。文化祭ではトリオ漫才も披露。千葉監督の世界史の授業では、フランス革命のところで「フランス国歌を歌ってみて」と当てられ、「こんな感じかな?」と自作の“フランス国歌”を熱唱してクラスを爆笑させた。
「関戸は『わかりません』と言わないんですよ。絶対に面白い回答を返してくる。正解ではなくても、面白い回答を必死に絞り出すんです。見当違いだけど、『わかりません』とは言わない。芸人班でやるネタも想像力が豊かじゃないとできません。どうしたら面白いか、構成も考えないといけない。(時事ネタが入ることもあるため)聞いている方も世の中に敏感じゃないと笑えません。すごくレベルが高いんですよ。テレビで話題になっているものをピンポイントでぶち込んできますから」(千葉監督)
1892年に宮城県尋常中学校として開校した仙台一。校訓「自重献身」、標語「自発能動」のもと、自由な校風で生徒の自主性を重んじてきた。個性豊かな生徒の中で、関戸のキャラクターも磨かれていったのだろう。
野球は高校で一区切りをつけ、大学では「ラグビーをやってみたい」と希望する。勉強に関しては「ワクワクしています。周りの人たちもレベルが高いでしょうから、人生で一番勉強する勢いで頑張りたいですね。大学に入ってからも勉強を頑張らないと、進路の振り分けで希望の学部学科に行けなくなってしまうので」と気を引き締める。野球と勉強で培った目標に向かっていく力、ふざけるとは異なる“バカなこと”に本気で取り組める力を強みに、東大でさらなる可能性を広げていく。
(高橋昌江 / Masae Takahashi)