レイズ筒香も苦労した金属から木製バットの対応 “世界基準”から外れつつある日本野球
反発係数の高い金属バットの使用で甲子園の人気も高まるが…
金属バットが安打、本塁打が出やすいのは、反発係数が高いからだが、それだけではなくスイートスポットが広いこと、さらには木製バットとバランスが異なり、重くても楽に振りぬくことができることが大きいとされる。金属バット独特の打法が拡がり、甲子園で本塁打が量産されるとともに、甲子園人気は高まったが、一方で弊害も目立つようになった。
金属バットの打撃に慣れた選手は、ボールを前の方でとらえることが多い。多少フォームは崩れても振り抜きさえすれば打球は飛んでいく。しかし、木製バットは、ボールをしっかり引き付けてバットの芯に当てて振らないと打球は飛ばない。
大学、社会人、プロ、独立リーグなど、高校野球の上のレベルではほとんどが木製バットを使用する。高校生の選手の中には、金属バットと木製バットのギャップに苦しむ選手が少なくないのだ。今季からMLBレイズでプレーする筒香嘉智は「僕も高校からプロに入って、木製バットに対応できなくて苦労しました」と述べている。
履正社高校など強豪校の中には、練習で木製バットを使用するなどギャップを埋める努力をしている学校もあるが、公式戦では金属バットを使用するためなかなかギャップは埋まらない。
アメリカでは金属バットの打球が速すぎて事故が続出したために、2012年から大学野球、高校野球、リトルリーグで反発係数を木製バットと同レベルに調整したBBCOR(Batted Ball Coefficient of Restitution)仕様のバットを導入している。
また韓国や台湾でも大半の野球大会で木製バットを使用するようになっている。反発係数が高い金属バットを使用し続けているのは、日本だけなのだ。