レイズ筒香も苦労した金属から木製バットの対応 “世界基準”から外れつつある日本野球
中学野球ポニーリーグでは今季からBBCOR仕様のバットを導入
近年、秋にU-18の野球世界大会が行われている。日本では甲子園で活躍した選手を中心にU-18侍ジャパンが結成され参加している。日本はWBSC(世界野球ソフトボール連盟)のランキングで1位だが、U-18侍ジャパンは、韓国や台湾に負けることが多く、優勝はおろか、表彰台にも上らないことが多い。その大きな原因が、金属と木製の「バットのギャップ」だと言われている。
昨今、MLBでは「フライボール革命」が起こっている。これと高校野球の「金属バット打法」は、遠くへ飛ばすことを目指すという点で似ているように思える。しかし「フライボール革命」は、ホームランになりやすい「バレル」と呼ばれる角度に強い打球を打つことを目標としている。十分に引き付けてボールをバットの芯に当てることが必要だ。バットコントロールなどの技術も求められる。バットの反発係数に任せて強く振りぬくだけの「金属バット打法」とは似て非なるものだといえよう。
2019年9月、日本高校野球連盟は金属バットの反発性能を抑制し、木製バットに近づけるようにすると発表した。最大径を現在の67ミリから木製の平均に近い64ミリに縮小し、球の当たる部分もより肉厚にすることで、従来より打球が飛ばないようにする。アメリカで導入されている低反発のBBCOR仕様の金属バットは国内の規格に合わないので、メーカーに依頼して新たなバットを開発中だ。
これは進歩だが、できるだけ早い導入が必要だ。日本では、高校野球に倣って中学校の硬式野球団体もよく飛ぶ金属バットを使用している。ポニーリーグは昨秋、今季からBBCOR仕様のバットの導入を発表したが、ボーイズ、リトルシニア、ヤングの3団体は依然として反発係数の高い金属バットを使用している。
中学から世界の野球とのギャップが始まっている現状を是正するためにも、高校野球の使用バットの早急な改革が求められる。
(広尾晃 / Koh Hiroo)