元鷹ファルケンボーグ氏が語る“今”と福岡の魅力 「本当に特別な場所」
田中将大はファルケンボーグ氏のスプリットを参考に「取材を受けた」
――有名なエピソードなのでご存知かも知れないですが、ヤンキースの田中将大投手(ヤンキース)が雑誌であなたのボールの握り方を見てスプリットを習得したとか。
「はい、聞いたことがあります。彼がヤンキースに行ったときにそのエピソードを話したようで、NYの記者の方から私が取材を受けたんですよ、そのときの詳細をね。田中投手は私のことを少し買い被りすぎだと感じているのですが、実際にその雑誌から取材を受けたことは覚えています。
記事の内容は日本語だったので読むことができませんでしたが、田中投手は信じられないほどの才能を持った投手ですし、私の記事を読んで握り方について言及をしてくれていることは、私のキャリアの中でもとても誇らしいことです。彼は本当に偉大な投手ですし、日本で彼と対戦する際に、ホークスの選手が『今日は田中投手との対戦だから完封されないように気を引き締めないと』と言っていたのを覚えています。彼はMLBでも活躍していますし、彼のピッチングにはとても興奮させられますね。
田中投手は、彼やヤンキースのファンでなくても尊敬されるような投手です。試合を支配するようなピッチングをしますし、彼が日本シリーズの第6戦で先発し、7戦目でクローザーを務めたこともあった。それこそが田中投手の真髄だと思います。彼のメンタリティやチームを鼓舞する力などはとてもすごいと思います。前日に100球以上を投げ、次の日も勝つためにクローザーとしてマウンドに上がって締める。それこそが、田中将大という投手なのだと思います」
――あなたはパワーピッチャーですが、制球もとても良かった。何か心がけていたことはありますか?
「“バッターをアウトにする”という点を常に心がけていました。ボールをバットに当てられるということに対しての恐怖心は一切抱かなかったですね。私がMLBのナ・リーグでプレーしていたとき、投手でも打席に立つことがあったのですが、打つのはこんなにも大変なのかと思ったんです。そこで、考えが変わったのです。
自分に負けてフォアボールを出すくらいなら、ヒットを打たれた方が良いと。そこから、ストライクゾーンにボールを投げようと心がけるようになったのです。日本でのキャリアの中でも、タフに投げ、次につなぐということは私のプライドにもなりましたし、アグレッシブでいることに対して効果があったと思います。
あとは、ホークスのコーチが、私のピッチングがどれだけ日本のバッターに対して有利かを教えてくれていました。たとえボールに当てられたとしても、フライやゴロになっていたので、メンタル面でとても助かっていました。ストライクゾーンに投げ、自分の有利なカウントにすれば、スプリットやスライダーなどで相手を仕留められますし、強気の勝負を仕掛けられるようになりますからね」