腕をぐるぐる回した鉄腕助っ投 シコースキーが語る日本への感謝と愛情

サブロー、福浦、黒木、小林、里崎…皆スーパースター、いい選手の集まりだった

――ロッテに2度在籍(2001~2003と2008~2009)していますがチームの変化を感じた点と、逆に変わらなかった点はどこでしたか?

「私が初めて千葉ロッテに在籍したとき、チームメートは私と同世代が多かったです。若いチームでした。私が2度目に在籍した時は、皆より良い選手になっており、優勝したいというモチベーションもあり、精神的に大人でした。1度目の時が悪いチームだったというわけではなく、より経験を積んでいたチームでした。サブロー、福浦、黒木、小林(雅英)、里崎がより成熟し、皆スーパースターとなっていました。いい選手の集まりでした。もし、今福浦やサブローと再会したら、彼らは日本語を話そうとする私をからかうでしょうね(笑)。本当にいい時を過ごしました」

「変わらないものはファンですね。言葉で表現できないほど、素晴らしかったです。いつもファンがスタジアムに来ることと彼らの応援を楽しみにしていました。たしか、私のロッテの2年目の開幕直後はあまりに酷いスタートだったと記憶しています。しかし、毎日スタジアムに入るときにファンがいつも外にいて『ファイト、ファイト』って応援してくれたのです。いつも私の心の中にありましたよ。千葉ファンは唯一無二の存在です」

――経験のある通訳の方が、新人通訳の方の靴が酷く傷んでいることを咎めているところを見かけ、靴を買ってあげたというエピソードを聞いたのですが、事実ですか?

「はい。ある新人通訳だったのですが、彼の靴は底がはがれているのを見て、彼は一体何をしているのだと思いました、なぜなら、球場のグラウンドにいる時、彼はマリーンズを代表し、私たち(外国人選手)を代表しているからです。当時、彼にその靴について尋ねたところ、『新しいのを買います』と言っていました。たしか、私たちが沖縄の石垣島からのフライトの時ですね。ショッピングに行った先で、1足の靴を購入し、彼に『はい、これを履きなさい』と伝えプレゼントしました。『おねだりする必要はないけど、君はグラウンドにいる時は外見をしっかりしなきゃいけない。なぜなら、TVにも君は映るし、何より君はマリーンズを代表しているから。ボロボロな靴はダメだよ』と伝えました」

「通訳は私たち外国人選手のために多くのことをしてくれるのです。特に、1年目で初めて来日した際にグラウンド内だけでなく、グラウンド外でも助けてくれました。私は1年目に他の外国人選手から通訳者への振る舞いを教えられたのです。ネイト・ミンチー、デリック・メイ、フランク・ボーリックから、私たち(外国人選手)は通訳を大事にしなければならないと。そして彼らが、私自身がすべき振る舞いを示してくれました。その背景には、国、家族、そして特に組織を代表してプレーしているという自負がありました。また、マリーンズは私と家族を2度も受け入れてくれています。それらの振る舞いはかつての外国人選手から脈々と受け継がれてきたのです」

――とても良い話ですね。シコースキーさんの言葉はプロフェショナリズムを示していると思います。選手としてのプロフェッショナルとは? についてさらにもう少し掘り下げていただけませんか?

「来日して、最初の3か月間は異なる文化、生活への適応が難しかったです。しかし、私は自身に言い聞かせていました。ここ日本はきっと良い場所だと。人々は礼儀正しいですし、私は何度も何度も迷子になったのですが、その時は周りの人に近づき、携帯電話を渡し、道順を教えてくれと尋ねていました。いつもみんな礼儀正しく助けてくれました。ですので、私自身が私の国、家族を代表しているという気概をもち、皆をリスペクトしていました」

「野球選手としてのプロフェッショナルリズムですが、ファンは選手をTVやコストコで見かけますよね。ですので、皆に対してリスペクトの気持ちをもって接していました。なぜなら、私たちは広い意味で世界・時をともに共有しているからです。皆が幸せであれば、全て良しですよね」

独特の腕を振る動き…「私の息子もやっている」

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY