BC埼玉武蔵・田澤、ルール撤廃に感謝「他の選手の障害にならないのが一番嬉しい」

敵地・神奈川戦の前に記者対応したBC埼玉武蔵・田澤純一【写真:荒川祐史】
敵地・神奈川戦の前に記者対応したBC埼玉武蔵・田澤純一【写真:荒川祐史】

2008年に設けられた契約制限“ルール”、自身のNPB入りは「何も考えてなくて…」

 日本野球機構(NPB)と12球団によるプロ野球実行委員会は7日、いわゆる「田澤ルール」を撤廃し、今後は同様の規定は作らないと決めた。この決定から一夜明け、ルートインBCリーグ埼玉武蔵の田澤純一投手は8日、敵地・神奈川戦の前に記者対応し、「ルール撤廃になったことは素直に嬉しいですし、周りの人に感謝したいなと思います」と話した。

 球界の歴史が動いた。「田澤ルール」は2008年、当時ドラフト1位候補だった田澤が日本球界を経ずに、新日本石油ENEOS(現ENEOS)から米球界挑戦の意向を表明した約1か月後、人材流出に危機感を抱いたNPB側がドラフトを拒否した選手との契約を制限することを申し合わせたものだ。ドラフト指名を拒否して海外プロリーグと契約した選手は、帰国しても高卒選手は3年、大学・社会人出身選手は2年、NPB球団とは契約できないという」ものだった。

 その年、田澤は米ボストン・レッドソックスと契約し、2013年にはワールドシリーズ優勝に貢献するなど活躍。マーリンズ、タイガース、カブス、エンゼルスなどを経て、今春レッズ傘下マイナーを自由契約になった後に帰国し、7月にBC埼玉武蔵入りしていた。

 田澤が米挑戦の意思表明をした後に取り決められた“ルール”だったが、田澤自身も適用対象になるなど曖昧な点も多かった。ペナルティとして設けられたルールの通称に、「田澤ルール」として自身の名前が使われることに戸惑いを見せることもあったが、何よりも責任を感じていたのは自分の後に続く選手が米挑戦をしづらい環境ができてしまったことだった。

「いろんな方にご意見をもらったので、そこを踏まえて感謝したいなと思います。選択肢が増えたことは素直に嬉しいです。あとは田澤ルールに続く選手が出た時に、こういったルールが障害にならなくなったというのが、そこが一番嬉しいかなと思います。実際に田澤ルール2号が出ていますから、その子に対して良かったかなと思います」

 この12年間で日米球界を取り巻く環境は大きく変化。また、社会情勢もグローバル化が進み、国境を越えた人材の活躍が日常のこととなっており、NPBもまた時代の流れに沿った見直しを行ったことになる。今回のルール撤廃により、田澤は今秋のドラフト対象となり、NPB球団でプレーすることが可能となった。

 田澤はNPBでプレーする可能性について「まだオファーを受けたわけではない。ただルールが撤廃になっただけなので。あんまり何も考えてなくて。まだここのチームに属していますので、このチームで結果を出すことが大事だと思っています」と話すにとどめた。もしNPB入りが現実のものとなれば、田澤が米球界で培った技術と知識が還元されることになり、NPBのさらなる発展に寄与することになるだろう。

 2020年のドラフトは10月26日に行われる予定。田澤が指名されるのか、注目を集めることになりそうだ。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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