ロッテの救世主になれるか? 藤原、高部に次ぐチームを救う若き逸材たちの現在地
藤原と同じく高卒1年目から2軍で多く出場した山口
山口も藤原と同じく、高卒1年目だった2019年から多くの出場機会を得ていた。そして、2020年にはより優れた打撃内容を見せ、成長の跡を感じさせているのも同様だ。山口は打率.260、出塁率.321と一定以上の数字を残し、わずか59試合で昨季の数字を上回る7本塁打を記録。OPSも昨季に比べて.119も向上しており、先述の通り4番にも定着。打線の中軸として、随所で光る活躍を見せている。
高卒2年目で2軍の4番を任されたといえば、2019年にイースタン・リーグで本塁打王と打点王の2冠に輝き、現在は1軍でも4番として奮闘している安田尚憲を思い出すファンも少なくはないだろう。その安田が昨季残した成績と、今季の山口の成績の比較は、下記の通りとなっている。
打率に関しては山口のほうが上回っているが、本塁打、打点、出塁率、OPSといった要素では、安田が一枚上手だった。このあたりは高校時代から将来を嘱望された安田の豊かな才能を感じさせるところだが、同じく高卒2年目で及第点以上の数字を残している山口も、若くして4番に座り続けるだけの理由を示しているのではないだろうか。
ロッテの外野手陣の年齢層に目を向けると、26歳以下のは藤原(20歳)、山口(20歳)、和田康士朗(21歳)、高部(22歳)の4名だけと、全体的に高齢化が進んでいる傾向にある。それだけに、優れた打撃センスを有する山口が台頭すれば、チームの中長期的な展望も明るくなってくることだろう。藤原と共に将来のロッテの外野を担うことが期待される逸材は、着実に成長のステップを踏み続けている。
高部はルーキーイヤーの今季、2月に負った骨折の影響で出遅れた。開幕は延期されたものの、練習試合でアピールを見せたタイミングでの故障は響き、結果的に開幕1軍入りも逃してしまう。それでも、2軍では持てる実力をしっかりと発揮し、プロの舞台でも出色の打撃を披露。10月7日の時点で.368というハイアベレージを記録しており、プロ1年目にして早くも2軍では格の違いを見せつけている。
また、2軍での盗塁成功率は.813と高水準で、藤原と同じく高い確率で塁を盗める俊足と盗塁技術も、高部の大きな武器の一つ。守備面においてもその脚力は活きるが、それに加えてアマチュア時代から高く評価されていた強肩も持ち合わせている。先述した外野手の全体的な高齢化もあり、走攻守三拍子が揃った選手に成長する可能性を秘めた高部が、即戦力として期待を受けていたのも頷けるところだ。
しかし、開幕から驚異的な俊足を武器にブレイクを果たした和田、2軍での打撃好調をしっかりと1軍での活躍につなげてみせた加藤翔平といった、同じく俊足・強肩を武器とする外野手が揃って躍動したことに加え、菅野剛士、角中勝也、清田育宏といった、中堅・ベテラン勢も随所で存在感を発揮。その影響もあって、高部は2軍で好調な打撃を見せながらも、なかなか1軍昇格の声がかからない状況が続いていた。
ただ、先述したチーム事情で一転して外野手不足に陥ったこともあり、藤原ともども急遽1軍に昇格。昇格即1番のスタメンに抜擢された10月6日のオリックス戦では、山本由伸投手、ブランドン・ディクソン投手という一線級の投手に抑え込まれ、4打数無安打、3三振と1軍の洗礼を浴びた。この結果に臆することなく、2軍で見せてきた優れた打撃内容を、ぜひ1軍の舞台でも発揮してほしいところだ。