「プロは関係ない世界と思っていた」札幌学院大148キロの無名左腕に6球団から調査書
就職活動もせずプロ入りの可能性にかけた「就職浪人しても1年違うだけ。焦らなくていい」
高校時代の最速は135キロ。当初、大学卒業までに定めた目標は140キロを出すことだった。大学2年で早々とその目標をクリアし、大学3年春には常時140キロを叩き出し、最速は148キロをマークするまでになった。ちょうどその頃、カットボールにも大きな手応えを得た。「握りは変化球の教科書に書いてあった通りで、投げ方は自分で考えました。縦に落ちるので、空振りが取れるんです」。社会人のJR北海道硬式野球クラブとのオープン戦で面白いように三振を奪って自信を深め、プロを意識するようになった。「就職浪人しても1年違うだけ。焦らなくていい」と3年秋には就職活動せずにプロ入りの可能性にかけることを決めた。
近藤の入学時にトレーニングコーチを務めていた平間康允監督は「大学であれだけ体格が変わる選手は一握り。意識を変えて取り組んだ成果でしょう」とうなずく。高校時代の73キロからトレーニングと食事で徐々に体重を増やして現在は87キロ。成長過程を近くで見守った平間監督は「ボールに強さがあり、コースが多少甘くても力で押し切れるようになりました。変化球1つ1つのキレも増しました。変化球でストライクを取る起用さがありますし、体力もある。大きなけががないのも強みです」と近藤の魅力を語る。
典型的なパワー系左腕と言える近藤に好きな選手を尋ねると、ソフトバンクの柳田悠岐外野手と西武の平良海馬投手という答えが返ってきた。平良が投げる直球のスピードと質が理想だという。同じ左腕では、ソフトバンクのモイネロ投手の投球に憧れを抱いている。
持ち球は自慢のカットボールのほか、スライダー、カーブ、フォーク。「緩急をつけられるようにカーブを磨いていきたいです」と近藤はリーグ戦が終わってもブルペンでの投球を続けている。
チームは4年間1度も1部に上がることはできなかったが、スカウトに見出されてドラフト戦線に浮上した。「やることをやって結果を出せば、見てくれる人がいるんですね」としみじみと語る近藤。ドラフトで指名されれば、札幌学院大からは初めてになる。「北海道に来て良かったと思っていますし、恩返しができれば」と吉報を待っている。