西武スパンジェンバーグが見せる適応能力 MLBプロスペクトが日本で開花の予感

投手有利なペトコ・パークは、野手のプロスペクトにとっては難しい環境?

 残念ながらメジャーリーグへの定着は果たせなかったスパンジェンバーグだが、彼がMLBでの6シーズン中5シーズンを過ごしたパドレスは、投手が非常に有利な球場として知られるペトコ・パークを本拠地とすることは留意する必要があるだろう。球場の構造上右中間が広くなっていることもあり、左打者のスパンジェンバーグにとってはとりわけ難しい環境でもあった。

 また、スパンジェンバーグが台頭し始めた時期はパドレスが再建に舵を切ったタイミングでもあり、他にも期待のプロスペクトが多く在籍していた。その中でも、フェルナンド・タティスJr.は遊撃手としての高い守備力に加えて、長打力、選球眼、確実性といった、野手にとって必要なツールのほぼ全てを兼ね備えており、今まさにMLBで大ブレイク中。パドレスにとっては、プロスペクト育成成功の象徴的な例といえる。

 ただ、タティスJr.のような大成功は、残念ながらパドレスにとってはむしろ珍しいケースといえるものでもあった。プロスペクトの中でもとりわけ将来を嘱望されていたハンター・レンフロー(現レイズ)は、打者不利の球場を本拠地としながら2017年からの3年間で85本塁打を記録し、2019年にはキャリア最多の33本塁打を放った。ただ、同年は打率.216、出塁率.289、154三振と、確実性を欠く面も目立っていた。

 また、俊足好打に加えて高い守備力を兼ね備えた外野手として期待されたマニュエル・マルゴー(現レイズ)も、2019年は12本塁打、20盗塁を記録したものの、打率.234とやはり打率が伸びず。強打の捕手として期待されたオースティン・ヘッジス(現インディアンス)は守備面で一定以上の評価を受け、2017年から3年連続で2桁本塁打を記録したものの、2019年は102試合で打率.176、109三振と、確実性に課題を残し続けてきた。

 スパンジェンバーグも含めた各々に共通する課題として、長打の魅力はあるものの、確実性や選球眼に欠けるケースが目立ったという点がうかがえる。打者にとって難しい球場を本拠地としている事情は勘案すべきだが、再建のコアとなるべき若手野手の多くが伸び悩み、最終的にはトレード要因としてチームを去ったことは事実として存在する。

 新たな環境で徐々に打率や選球眼が向上しつつあるスパンジェンバーグにとっては、積年の課題がついに解消されつつあるシーズンとなっているかもしれない。また、相対する投手のタイプがMLB時代とは少なからず変化していることも、スパンジェンバーグとしてはプラスの方面に作用している可能性はあるだろう。

AAAにおける出場試合数は多くはないものの、その数字は常に安定

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