広島ドラ3大道が大学ラストゲームで示した成長 監督が「すげぇや」と感嘆した瞬間

3年秋のリーグ戦の最中から投げ始めたスプリット

 スプリットは3年秋のリーグ戦の最中に投げ始めた。持ち球にはしていたが、「しょぼすぎた」と大道は笑う。主となる落ちる変化球はチェンジアップ。今年は「さらに進化するものが出てきた」と正村監督は言う。膨らみの大きかった軌道を修正したスライダーが“宝刀”となり、奪三振数が増えた。リーグ戦は150キロに迫る直球とこのスライダーで戦い抜いており、スプリットは多投していなかった。

 八戸学院大はリーグ戦後、明治神宮大会の出場権をかけた東北地区代表決定戦に出場予定だった。ところが、本大会も予選も新型コロナウイルスの影響で中止となり、代わりの東北地区王座決定戦が開催された。4校によるトーナメント。初戦の東北福祉大は言わずと知れた強豪。指揮する元西武の大塚光二監督が「日本一を狙えた」と言うほど自信を持つチームで、腕に覚えのある打者が並ぶ。

 大道の登板は1-2の5回からだった。この日は延長10回まで6イニングを投げたが、前半は直球とスライダーで配球を組み立て、後半はスプリットを混ぜた。そうやって選択肢を増やすことで技量ある打者を惑わせようとした。

 これが功を奏した。9回までに打たれた安打は5回の二塁打のみ。5イニングで9個の三振を奪った。試合は2-2の同点で9回を終え、延長10回からは無死一、二塁からはじまるタイブレークが適用。大道は犠打と遊飛で2死二、三塁としたが、4番・小椋元太(3年・一関学院)に1ボールからカウントを取りにいった2球目、この秋、最大の武器になったスライダーを捉えられた。「そこを打つかという感じで、びっくりした」と大道。中越えの適時三塁打で勝ち越しを許した。

突然の閃き「インコースに構えた瞬間、絶対に打たれる」

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY