“野茂効果”を実感したダルビッシュ 新たな環境に吹く3つの追い風

捕手カラティニとの強固な信頼関係、田中将と6年間過ごした投手コーチ

 この日、マスクを被ったのは共にカブスからトレードで移籍したカラティニ。2019年7月半ばの登板から、昨季はプレーオフを含む13試合を受け、2人は25試合連続でバッテリーを組んでいる。この間の防御率は2.40を記録している。

 ダルビッシュは登板の間にこんなやり取りがあったことを明かした――。

「あまり球速が出てない」と耳打ちされ、これが引っかかっていた。登板後、ダルビッシュは「150キロ台がコンスタントに出ていた!」と反論。しかし、相棒から返ってきたのは優しい笑みだった。投手心理をくすぐるカラティニの技も信頼から生まれている。

 ダルビッシュは、ラリー・ロスチャイルド投手コーチとも打ち解けはじめた。

「すごくポジティブな言葉を言ってくれて、自分がやろうとしていることにちゃんとリスペクトを持ってくれている。やり易い環境を作ってくれているなと思います」

 就任2年目のラリー・ロスチャイルド投手コーチは、2019年までの6年間を田中将大投手(現楽天)とヤンキースで共に過ごした。田中の意見を尊重するスタイルに徹し、迷いが生じた時には長年の経験から培った的確な助言で右腕に寄り添った。ロスチャイルド投手コーチはダルビッシュについて、数日前の会見でこう語っている。

「大抵の投手は、入り球やカウントを優位にするために直球を投げ、変化球は優位なカウントからだ。でも、彼は逆。どの変化球にも切れと制球に自信を持っている。彼が直球を投げる割合は不利なカウントより優位なカウントからの方が高い。カットとスライダーの多投はそういうことだ。(過去には)彼のこうした投球に口を挟む人々もいたと思うが、この特徴を理解することはとても大切なこと。いつどの球を投げるかを分かっている」

田中将の通訳を務めた堀江慎吾氏がサポート

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