ロッテ唐川侑己はなぜ抑えられるのか? 140キロ前後でも打たれない理由

ストレート、カットボール、チェンジアップで全体の88%を占める

 続けて、昨季の唐川が記録した、結果球における各球種の割合について見ていきたい。

 先発時代はストレートを投球の軸にしていたが、リリーフ転向後はカットボールを多投するスタイルに変化。それに加えて、決め球に用いるチェンジアップと、「曲がらない」ことによってカットボールとの違いを活かす真っ直ぐ、他のボールとの球速差のある落差の大きいカーブといった球種を交え、結果球としてはスプリットの割合が少ない、というスタイルになっている。

 次に、唐川が2020年に記録した、球種別の被打率を確認したい。

 なんとストレートの被打率が.000。年間を通してストレートを投じた際には1本もヒットを打たれていないという、驚異的な数字を残していた。ただ、2020年の唐川は速球を投じる割合が9.3%とかなり少なく、投球の軸となるカットボールがあるからこそ、打者にとっても打ちにくくなる球種だったといえる。その投球術の効果のほどは、上記の被打率が物語っている。

 また、全体の50%を超える割合を占めたカットボールも被打率.224と、ピッチングの中心にふさわしく、安定して頼れる球種となっている。そこに被打率.125のチェンジアップを交えた配球が、2020年の唐川のピッチングを支えていたといえる。この3球種のいずれかを投じる可能性は実に全体の88.1%に及んでおり、それぞれの球種が持つ特性の違いもあって、打者にとっては攻略が難しくなっていることがうかがえる。

 その一方で、先発時代は機能していたカーブと、空振りを奪うための球と言えるスプリットの2球種は、いずれも極端に悪い被打率となっていた。このあたりにも、リリーフ転向に伴うモデルチェンジの結果が表れているといえるか。打者の目先を変える効果のあるカーブは9.7%と一定以上の割合で投じているが、先述の通り、より信頼できる球を多く用いながら打者を幻惑するというアプローチは、十二分に成果を上げていると言えそうだ。

安定した制球や投球バリエーションの変化が唐川を支える武器に

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