ロッテ佐々木千を擁した5年前と「違う喜び」 桜美林大、首都V象徴の“全4年生起用”

桜美林大・津野裕幸監督【写真:川村虎大】
桜美林大・津野裕幸監督【写真:川村虎大】

守備固めで2人起用、胴上げ投手は多間に「最後は4年生を使いたかった」

 首都大学野球1部春季リーグの優勝決定戦が30日、サーティーフォー相模原球場で行われた。前日の29日に東海大を5年ぶりに破り、勢いに乗った桜美林大が11-4で帝京大に勝利。決定戦2連勝で、2016年秋以来、9季ぶり2度目の優勝を飾った。この試合ベンチ入りの4年生を全員起用し、総力でつかんだ悲願。笑顔で会見場に姿を見せた津野裕幸監督は、4年生への思いを聞かれると不意に言葉が詰まった。

「そうですね……。やっぱり当時は佐々木がいて優勝しないといけないというような思いだったんですけど、今回は優勝させてあげたいという気持ちが強かったですね。そういった面では、16年秋とは違った喜びを感じています」

 目に光る涙は、1部初優勝の時とは違う苦しさがあったことを物語っていた。5年前は、現ロッテの佐々木千隼投手がエースとして君臨。明治神宮大会では準優勝を果たした。しかし、佐々木千の卒業後は、2017年春と2019年春に2部降格も経験。1部で優勝争いに加わることはなかった。「毎年入れ替え戦をやっている状況だった」と振り返ったが、その環境を変えたのは、4年生の存在だった。

 主将の松江京捕手を中心に、当たり前のことを徹底。ナインたちの姿を見ていた津野監督は「野球だけやっていてもダメ。挨拶とか、掃除とかそういう部分を全員ができるようになっていたので、チームのまとまりができてきたかなって感じていました。4年生が本当に頑張ってくれていたので、なんとか勝たせてあげたいと思いました」と語る。

 だからこそ最後は最上級生に託した。9回、一塁に七井祐吏内野手、二塁に小林由伸内野手を守備固めで起用。2死からは前日先発した多間隼介投手を投入、最後のマウンドを託した。「できる限り使ってあげたい」と、ベンチ入りした4年生を全て投入した。

 29日は桜美林大創立100周年の記念日。「100周年になんとかいい結果を残せてほっとしています。大学選手権は行けるとこまで行けたらいいかな」と、津野監督。初めて挑む大舞台は、6月7日に神宮球場と東京ドームで幕を開ける。首都大学の代表として、4年生と共に全国に挑む。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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