指名打者の有無は成績に反映される? パ6球団、交流戦のホーム・ビジター別勝敗は
2018年まで4年連続で1人の選手がDHを務めたソフトバンク
○ロッテ
2015年から2018年まで4年連続でホームの成績がビジターを上回っており、DH制の恩恵がとりわけ大きなチームの一つと言える。実際の顔ぶれを見ても、ほぼDH専門だったデスパイネ外野手が全試合でDHを務めた2016年を筆頭に、大ベテランの福浦和也や井口資仁、同じくDH起用が主だったパラデスと、DHで起用したい選手が多く在籍していた。
そんな中で2019年はホームで3つの負け越しをつくりながらビジターでは勝ち越しと、従来とは逆の傾向を示した。この年は鈴木大地内野手が一塁に回り、一塁が本職の井上晴哉内野手がDHを務めた。DHが使えない試合では鈴木がレフトの守備に就くなど難しいやり繰りを強いられていたが、内野に比べれば外野の選手層が薄い時期だったこともあり、大きな戦力ダウンにはつながらなかったと考えられそうだ。
○オリックス
2015年はホームとビジターの勝率が同じ、2016年はホームで大きく負け越しと、同時期の他球団とは毛色の異なる結果に。2015年は前年にDHを務めたペーニャの退団もあり、DHのレギュラーが定まらなかったことが起用された選手の多さからもうかがえる。2016年はブランコが主にDHを務めたが、交流戦では9試合に出場して打率.083と極度の不振に。期待の大砲の不調は、チーム全体の大苦戦につながったと考えられる。
苦しい2年間を経て、2017年からはロメロが主にDHを務め、時折吉田正尚外野手もそのスポットに入るように。その効果か、2017年から2年続けてホームの成績がビジターを上回った。2019年もホームとビジターの間にさほど差のない結果となっており、ロメロの加入によって、DH制の恩恵が明確に表れるようになったと言えそうだ。
○ソフトバンク
2015年から2018年まで4シーズン続けて、1人の選手が9試合全てでDHを務めた。成績面でも2015年はビジターのほうが良かったものの、2016年からは4年連続でホーム成績がビジターを上回る結果に。指名打者のレギュラーが完全に固定されていることの影響が、良くも悪くも大きく表れたと言えよう。
2019年もデスパイネが主にDHを務めたが、交流戦は打率.204と不振。その影響もあってか、ホームとビジターの差は過去3年間に比べてやや小さくなった。ホークスにとってDH制の恩恵が大きいことは先述の通りだが、それでも該当期間内の5年間全てでビジターでも勝ち越しをつくっている点は、交流戦巧者の面目躍如といったところか。
このように、DHに入る選手が固定されていたり、主力選手がDHで出場したりすることによる恩恵が大きいチームほど、ホーム成績がビジターを上回りやすいことが数字にも示されていた。
戦力事情の影響で、DH制の恩恵が必ずしも大きくなかったチームも散見された2019年には全体の傾向自体に大きな変化が見られていた。だが、先述のような傾向が表れていること自体が、交流戦におけるホームとビジターの重要性を証明するものでもあるだろう。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)