“ぶんぶん丸”から変貌した「世紀末覇者」 オリックス杉本裕太郎の覚醒の理由とは?

オリックス・杉本裕太郎【画像:パーソル パ・リーグTV】
オリックス・杉本裕太郎【画像:パーソル パ・リーグTV】

プロ6年目・30歳のシーズン、4番を務めるまでに急成長

 有名漫画になぞらえた「ラオウ」の愛称で親しまれる強打者が、いよいよ覚醒の時を迎えた。オリックスの杉本裕太郎外野手が持ち前のパワーを生かした豪打を武器に、レギュラー定着。現在、リーグ4位となる12本塁打を記録している。

 プロ6年目、30歳を迎えたシーズンでついに主力の座を掴んだ杉本だが、そのバッティングは昨季までと比べて、どのように変化しているのだろうか。今回はそんな杉本の経歴や長所を紹介するとともに、これまでプロで記録した全本塁打の、投球コース・球種・打球方向といった要素を確認。具体的なデータをもとに、杉本選手の進化の理由に迫っていきたい。

 まず、杉本選手がこれまで1軍で残してきた各種の成績を見ていきたい。

杉本の年度別成績【表:PLM】
杉本の年度別成績【表:PLM】

 杉本は徳島商、青学大、JR西日本を経て、2015年のドラフト10位でオリックスに入団。指名順位こそ高くはなかったものの、190センチ104キロという恵まれた体格を生かした豪快な打撃は大きな期待されていた。2017年にはプロ初安打を初回先頭打者本塁打で飾り、2018年には2試合連続で満塁本塁打を放つなど、1軍でもたびたび印象的な活躍を見せていた。

 2018年終了時点で、1軍で記録した5本の安打が全て長打という驚きの成績に。その一方で打率は低く、プロ入りからしばらくは、当たれば飛ぶが確実性に欠ける部分も目立っていた。その影響もあって2019年までは1軍定着を果たせず、いわば「未完の大器」となりつつあった。

 しかし、2019年途中から中嶋聡2軍監督(当時)が1軍の監督代行に昇格したことが、杉本にとっても転機となった。2軍で指導を受けていた中嶋監督の就任後に一1で重用されるようになると、課題だった確実性にも改善がみられるように。同年は本塁打こそ2本にとどまったものの、打率や安打といた各種の数字は、過去5年間における自己最多の数字を記録した。

 そして、2021年は元来の持ち味だった長打力も復活し、先述の通りにすばらしい活躍を披露。昨季に引き続いて高い出塁率を記録しているだけでなく、長打率も.500を超える高水準で推移。各種指標の面でも、主軸の座に相応しい成績を記録している。

課題だったハイボールへの打率が、2021年は大きく向上

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