松井、落合… 指導者転身の元巨人ドラ1が「化け物たち」に見た練習への“こだわり”
今も守る清水隆行氏の教え「練習せずに結果は出せない」
グラウンドに太い声が響く。
「打撃練習1時間。1人1000スイング」
「妥協するな」
原監督は練習の量にも質にもこだわる。結果を出すためには練習が絶対条件と自らの経験で知っているからだ。現役時代、松井秀喜氏の体つきに「ものが違う」と驚いた。体に恵まれアドバンテージがあるはずの松井氏は、誰よりもバットを振っていた。
落合博満氏は打撃練習で緩いボールばかり打つ。3冠王に3度も輝いた大打者でも、自分にベストな練習を考え抜いていると知った。今、選手たちに寮の中で靴下を履くように指導しているのは、一流のプロ野球選手が体のケアを怠らなかったのを目にしてきたからだ。体温調整に加えて、足の裏をケガするとパフォーマンスが一気に下がる。
原監督には忘れられない言葉がある。毎年のように強打者が加入する中で長年主力を担い、2002年にはシーズン191安打でタイトルを手にした清水隆行氏からの一言だった。「練習をやっても結果が出ないかもしれない。でも、練習をしなかったら結果は出ない」。原監督は1軍で活躍し続ける理由を理解した。
プロと高校生を同じ土俵で比べることはできないのは分かっている。それでも、共通項はある。「練習して結果が出ないのは虚しいが、練習せずに結果は出せない。効率よくうまく練習できるに越したことはないが、無駄な練習はないと思っている。練習したことが履歴となって、上達につながっていく」。高校野球の監督となり、自身の体験を選手に伝えている。