完全試合とノーノーで2日連続の偉業 比べるほど対照的なトヨタ自動車の“両輪”

トヨタ自動車・三輪さくら【写真:荒川祐史】
トヨタ自動車・三輪さくら【写真:荒川祐史】

ノーヒットノーランの後藤は東京五輪代表、最速114キロの本格派左腕

 三輪は後藤の剛球を「速球は動かないと言われているが、パワーがあって回転数があるので、ちょっと落ちる」と話す。その球速は今シーズンのリーグ戦で最速114キロを計測。ソフトボールはマウンドからホームベースまでの距離が野球よりも5メートル以上短いため、球速110キロは硬式野球の160キロ近い体感速度とも言われる。

 後藤は20歳の若さでリーグ屈指の投手であり、東京五輪の代表にも選ばれている。剛速球に加えて、ソフトボールでは極めて珍しいサウスポーであることも大きな武器だ。実はソフトボールを始める前まで、後藤は右投げだった。ドッジボールやバスケットのドリブルも右手。ボールを蹴るのも右だ。ソフトボールをする際に、アスリートではない母親から「元々、左利きだから左投げに変えたら」と言われた何気ない一言がきっかけだった。

 練習の合間に気分転換で野球ボールを使ってノックを受ける時は、左手にグラブをはめて右手で送球。後藤が本来はサウスポーと分からないほど、きれいなスローイングを見せる。高校生の時の握力も左手が47で右手が41と大差がない。

 投球スタイルが全く違う後藤と三輪。練習を15分見れば、性格の違いにも気付く。投球練習の時に足元に敷く縦1メートル、横60センチほどのマット。手際よくクルクルと丸めて持ち上げる後藤に対し、三輪はマットの角を両手で引っ張って移動させる。後藤は自分の意思をチームメートやスタッフに伝えながらテキパキと練習メニューをこなし、三輪はマイペース。周囲は後藤の性格を「せっかち」、三輪を「ふわっとしてる」と分析する。

 これまで歩んできた道も対照的だ。運動神経抜群の後藤は子どもの頃、テニスやバスケット、スキーやスノーボードをやっていた。小学4年生でソフトボールを始めると、中学生で最速105キロをマークするほどの逸材だった。一方の三輪は、お絵描き教室に習字、英語にピアノを習っていた。小学3年生で始めたソフトボールを除けば、運動は得意ではなかったという。手先が器用で、今も手芸を趣味にしている。

お互いの印象は驚くほど一致「負けず嫌い、オンとオフが違う」

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