プロ6年目に才能が開花 “台湾の星”西武・呉念庭、データから見る活躍の理由
外角や高め&低めのボールゾーンにも対応、課題は内角球
次に今季のコース別打率を紹介する。
目につくのが、外角のボールコースの球に対する抜群の強さだろう。外角のストライクゾーンに来る球はやや苦手にしているが、外角真ん中の球には打率.333と強さを見せている。また、ど真ん中や真ん中高めといった甘いコースをきっちりと安打にしていることに加え、高めの釣り球や、低めのボールゾーンに落ちる球に対しても、好成績を残している。あとは、明確な課題となっている内角球に対応できるようになれば、さらなる成績の向上も期待できるだろう。
今季の呉は積極的なバッティングに切り替えたことが奏功し、元々優れた傾向にあった得点圏打率もさらに向上。守備面でも持ち前のユーティリティ性でチームの穴を埋め、ポジションを問わずに安定した守備を見せている。
近年の西武には、投手として12年間プレーし、2018年から昨季までコーチとしても在籍した許銘傑氏、呉とは岡山共生高校時代の同級生だった廖任磊投手、2019年まで5年間在籍した郭俊麟投手と、台湾出身の選手が多く在籍していた。古くは「オリエンタル・エクスプレス」の異名を取り、1991年のシーズンMVPにも輝いた郭泰源氏に代表されるように、ライオンズの歴史の中では、台湾出身の選手がたびたび活躍を見せてきた。その系譜を継ぐ存在となりつつある呉が、新たな「台湾の至宝」となれるかどうか。シーズン終盤でも、勝負強さでチームを救う存在となってほしい。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)