「野球できず、仕事も辞めて…」 自ら“就職先”見つけた元燕右腕、退路断つ現役続行

13年WBCで侍ジャパン相手に3回1失点の好投「目標はまたビッグステージで」

 選手生活で最も注目を浴びたのは、2013年WBCでの侍ジャパン戦だった。野球の強豪国とは言えないブラジル代表は、予選決勝ではフェルナンデスの6回無失点の好投でパナマを破り初の本大会出場を掴む。その勢いのまま、第1ラウンド初戦の日本戦では先発のフェルナンデスが3回1失点。敗れたものの8回までリードを奪い、前回王者に冷や汗をかかせた。

「目標はまたビッグステージで。NPBに戻るかメキシカンリーグに行くかですね。いい緊張感がないと調子が出ない。それをコントロールして自分の力に変えるんです」

 大舞台を“得意”と自負する右腕が見据えるのは、NPBとメキシカンリーグだ。今季は、ワンポイントを中心に13試合に登板して防御率9.72。「選手としては今年で終わる可能性もある」と後がないのはもちろんわかっている。それでも前を向き続ける原動力となっているのはブラジル代表のバリー・ラーキン監督の教えだ。

 ラーキン氏はメジャーリーグのレッズで通算2340安打、379盗塁、198本塁打を放ち、2012年に米殿堂入りしたレジェンド。そんな指揮官の野球に向き合う姿勢に感銘を受けた。「ネガティブなことを一切言わないんです。今日はできなかったけど明日は絶対できるからと、いつも最後はポジティブなんです」。苦しいときにはその言葉をいつも思い出してきた。「絶対、次は大丈夫」と。

 35歳とベテランの領域に入り、ブランクの影響もあって苦戦も「145~46キロくらいまで届けばまだまだ魅力はあると思う」と自信はある。さらに、ヤクルトで培った日本の野球に、ブラジル代表のラトロイ・ホーキンス投手コーチらから学んだメジャー流の攻め方や考え方を融合させ、投球術も深みを増した。

「結果はどうなるかわからないですけど色々やっていきます」。もう一度、ビッグステージへ……。茨城は16日に今季最終戦を終えたが、フェルナンデスの挑戦は続く。

(工藤慶大 / Keita Kudo)

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