知的障害がある球児も甲子園に… 「どうやればできるか」に挑戦する教諭の思い

元ロッテ荻野さんもサポート「上手い子もいてビックリ。何よりみんな楽しそう」

 3月6日に発足記者会見を行い、連絡先として自身の携帯番号を掲載してくれるようにメディアに依頼。すると、その日のうちに愛知県に住む生徒の保護者から電話を受けた。「正直なところ、誰からも連絡が来なかったらどうしようと不安でたまりませんでした。それだけに電話をいただいた時は、うれしかったと同時にホッとしましたね」。翌日にも1件、その翌日にも1件……。ほぼ毎日のように電話が鳴り続け、最終的には11人の志願者が集まったという。

 3月27日に都内近郊で行われた第1回練習会には、元ロッテの荻野忠寛さんも参加。荻野さんは何よりもまず「上手い子もいてビックリしました。何よりも、みんな楽しそうに野球をしていました」と振り返る。障害の程度や野球のレベルは参加者によって様々。そこで練習メニューは個々でカスタマイズしながら、みんなで野球を楽しむ時間を共有した。

 荻野さんは引退後、「スポーツをより価値あるものにしたい」と野球に限らず幅広くアマチュアスポーツの発展に力を注いでいる。「日本のスポーツは競技に特化されています。でも、本来スポーツとは、できる人のためだけではなく、やりたい人のためにあるはず」という想いが「甲子園夢プロジェクト」に共鳴。YBC柏を通じて知り合った久保田さんの活動に協力するようになった。「知的障害のある子どもで硬式野球をやりたい子がいるのであれば、その舞台を作るのが大人の役目」と言葉に力を込める。

 4月にはオンライン合同練習、6月には都内近郊で合同練習を行い、直近では10月2日に千葉県で合同練習を行った。現在は7都府県から18人の参加者が集まっている。

大人が可能性を潰さないように「どうやればできるかを考えよう」

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