公立の進学校を13年間で7度聖地へ 名将が実践“甲子園基準”の練習法とは?
4か所の打撃練習でフルスイングできるのは1か所だけ
「何をやるかで大きな差は出ない。それよりも、どうやるかが大切」
例えば、フリー打撃。打席を4か所設けた場合、フルスイングできるのは1か所しかない。他の打席では、ランナーやカウントを決める。一塁に走者を置いた想定では、相手バッテリーは外角の直球やスライダーが増える傾向が高いため、外角を打つ練習をする。走者を二塁や三塁に設定した時は、低めの変化球を捨てて浮いたボールを打つ。
2ストライクに追い込まれて、三振だけは避けることを目的とした打席もある。栗林氏は「試合の時にできないと困る打撃があります。チームの課題は変わっていくので、その時々で頻度や重要度の高いものを設定していました」と振り返る。
シートノックも細かな設定がある。栗林氏や捕手の声が響く。「バッター1番、一塁までの到達タイム3.6秒」。打者の走力、イニングや点差など、状況によって求められるプレーは変わる。常に意識するのは「甲子園の基準」だ。シートノックで守備位置につくまでの設定タイムは2種類ある。